生活空間から都市空間まで、
時代に応え、未来を拓くYKK AP。

ステークホルダーダイアログ

社会とともに歩む、YKKグループのモノづくりに期待すること

YKKグループは、対話を通じてステークホルダーの皆様と意見を交換するステークホルダー・ダイアログを2010年より毎年開催しています。第4回目は2013年4月9日に黒部事業所にて開催。前年に引き続き対話をうながすファシリテーターとして富山県立大学教授の九里徳泰先生をお迎えし、「地域社会の中でのYKK 」というテーマのもと、「YKKグループにおける社会的課題の解決」と「自然界との共生」について意見を交換しました。

後列左から:
APお取引先:平野 明
(平野工務店株式会社 代表取締役)
ファスニングお取引先:山本 剛
(株式会社ゴールドウイン 総合企画本部 マーケティング室 室長)
ナチュラリスト:松木 紀久代
(黒部峡谷ナチュラリスト研究会 事務局長)
近隣自治体:中谷 松憲
(黒部市 市民生活部市民環境課 課長補佐・環境係長)
環境団体:浦谷 一彦
(公益財団法人とやま環境財団 協働交流課長)
地域住民:中村 敏幸
(村椿自治振興会 副会長)
前列左から:
学生代表:尾形 順成
(富山県立大学工学部環境工学科)
消費者:稲垣 里佳
(富山県地球温暖化防止活動推進員)
海外留学生(中国福建省):金 俊
(富山県立大学大学院工学研究科環境工学専攻)
ファシリテーター:九里 徳泰
(富山県立大学工学部環境工学科 教授)

(敬称略)


事業所見学と2012年度活動報告の後、ワークショップ形式で意見を交換

午前中は、九里先生によるオリエンテーションと黒部事業所見学の後、YKKグループより、過去のステークホルダー・ダイアログなどでいただいたご意見に対する2012年度活動報告をさせていただきました。午後からは、9人のステークホルダーが3つのグループに分かれ、YKKグループ社員を交えたワークショップ形式でディスカッションを行いました。


オリエンテーションのポイント

テーマ
地域社会の中でのYKK
4つのキーワード
1.環境教育(ESD)※
2.サプライチェーン
3.エネルギー
4.グローバル化

※Education for Sustainable Development (ESD)。ユネスコが推進する持続可能な社会づくりのための教育。2002 年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」で日本が提案し、採択された。

ワークショップ1:YKKグループにおける社会的課題の解決提案

ワークショップ前半では、まず午前中の事業所見学と活動報告で「気になったこと」について意見を交換。

続いて、「YKKグループが取り組む社会的課題の解決」について話し合い、主な意見をボードに張りつけました。

3グループの意見が出揃ったところで、各グループの代表より発表と提案を行いました。

■Group 1

Group 1

環境への会社の取り組みをいかに広く知ってもらうか?

“語りつがれていく取り組みが大事”
「社員」が起点となって「地域社会」や「自治体」、「周辺企業」へと輪を広げていくことを提案します。メディアを通じた情報発信よりも、地域とのコミュニケーションが大事です。黒部市全体の環境対策においても、地元企業と連携を深め、YKKの先進的なノウハウを共有するなど、主導的な役割を果たすことを期待します。また、次世代教育の取り組みの一環として、環境教育そのものをYKKが行うなど、幅広い年齢層に環境意識を浸透させてほしいと思います。

■Group 2

Group 2

不良品・廃棄物の出ないモノづくりは可能か?

“意識を変えることが大切”
不良品はなぜできるのか? に始まり、不良品を出さない技術、製造設備は可能かということを軸に話し合いました。また、産業廃棄物に関しては、社外から納品される梱包材が焦点となり、「納入企業と連携して廃棄物の出ない梱包形態を考える」というアイデアが出ました。さらには「そもそも不良品・産廃というものはない」、「『産廃』という言葉自体をやめ、リサイクル資源として活用の道を探る」という意識の転換を求める意見もありました。

■Group 3

Group 3

工場における環境対策をさらに進めるには?

“地域社会との協働が不可欠”
廃棄物の回収・有効利用、温暖化対策、省エネ・創エネ、移動のスマート化などさまざまな対策が考えられます。その中で、もっとも重視するのは「地域社会とのコミュニケーション」です。環境対策は工場単独ではできません。地域の生物多様性に目を向け、産業観光の活性化や地域の文化資産の活用などを目指すためにも、地域社会の協力が欠かせないものだと考えます。

ワークショップ2:YKK黒部事業所「ふるさとの森」とビオトープ

ワークショップ後半では、黒部事業所内の「ふるさとの森」とビオトープを散策。

続いて、「ふるさとの森」とビオトープの活用方法についても、前半と同様に 意見を出し合いました。

各グループの代表より発表と提案があったのち、九里先生による全体のまとめがありました。

■Group 1

“子育てと地域のつながり、安全・安心のための「場」を提供”
森づくりによる「場」の提供として、すぐに思い浮かぶのは社員の家族サービスや子どもの遊び場です。また、センターパーク内の「丸屋根展示館カフェ」を拠点にすれば、親子がともに楽しむことができると思います。コンサート、お絵かきコンクールの開催などのほか、外来種対策などでの協働も考えられます。さらに、地域の安全・安心という意味では災害時の避難場所や避難訓練にも使えると思います。

■Group 2

“次世代教育とイベントづくりに活用”
森の活用方法としてまず考えられるのが、次世代教育への活用です。渡り鳥の飛来時期を学ぶなどの活動のほか、全国の小中学校からテーマを募集して定点観測を実施したり、立山登山を含めたエコキッズキャンプなどの企画も実現できそうです。YKKセンターパークを入場自由にしているのも効果的です。小中学校へのPRとともに、社員に対しての周知も活発に行ってほしいと思います。協働は「ともに働く」なので、地域住民と一緒に植樹をするのも良いアイデアだと思います。

■Group 3

“成長する森を地域社会で共有できる資源に”
「5年後、10 年後、50 年後、100 年後」の森の姿をイメージしてみました。たとえば5 年後は、鳥たちの住処を観察したりするなど、子どもたちの学習に役立つと思います。10 年後は間伐材で遊具をつくったりもできます。また、YKK50ビルの屋上を開放し、上から眺められるようにします。50 年後には成長した木を使って木製サッシの生産や次世代の家づくりが、100 年後にはさらにその次の世代による住まいづくりができるかもしれません。また、黒部周辺の事業所もすべて森でつなげると「森のなかの工場」が実現すると思います。

「集いの場」から「地域づくり」へ

■2012年までのご意見に対する活動報告と、自然界との共生に向けた継続的な取り組み

エコプロダクツ・モノづくり

■感性工学、ユニバーサルデザイン
ひとつの動作で窓を解施錠できる「戸先錠」や子どもでも簡単に操作できる「スマートコントロールキー」を発売しました。

■低炭素社会・循環型社会、社会構造の変化への対応
石油使用量を大幅にカットした紙ファスナーや住宅のCO2排出削減に貢献する「APW330真空トリプルガラス」を発売しました。

地域社会

■各種出張授業
保育所などへ社員が出向し、環境教育を行いました。

■環境教育(ESDなど)
保育所での教育のほか、2012年度から富山県が実施するESDプログラム「とやまエコキッズ探検隊」に協力しています。

コミュニケーション

■モノづくり成果の「見える化」
社外表彰制度の活用など積極的なコミュニケーション活動を推進しています。

自然界との共生

■地域の生態系保全(ビオトープづくりとESDの活用)
「ふるさとの森づくり」として2008 年度から植樹を開始しました。その森づくりを活用した自然体験教育プログラムを実施しています。また、森の成長を知るため5年ごとに生物調査を実施します。

■黒部川扇状地全体を見据えた地下水利用調査
黒部川扇状地を流れる地下水の持続的な利用を目指し、富山県立大学講師の手計太一先生に地下水に関する調査・研究を依頼しています。
現時点で長期および季節的な地下水位変化がわかってきました。



ステークホルダーダイアログを通して

“地域社会の中でのYKK”—企業の役割と協働のあり方について再考する良い機会に
「継続は力なり」と言いますが、このような対話の場を4年間YKKグループが持続的に開催したことをまず高く評価します。ステークホルダーも新しい取引先と海外留学生がさらに増えました。本年は趣向を変えて社員も参加するワークショップ形式で、課題を参加者全員で見つけ解決案を出すという、より自由な発想が生まれる場を設けました。そこでは、会社の環境の取り組みをいかに広く知ってもらうか、不良品・廃棄物が出ないモノづくりはできないのか、工場の環境対応はいかにあるべきかの3つが課題としてあげられ、活発な意見交換が行われました。またYKKグループと地域との協働に関して、ビオトープ・森林の活用をテーマにしたところ、教育・イベントの場、100 年後を考えた森づくり、つながりとプロセスといった具体的なあるべき姿が提案されました。今後はこの対話の場を他の事業所への展開も検討中とのことで、ぜひ海外への展開も検討していただきたいと思います。
今後は日本、海外でのYKKグループの事業所においてこのようなステークホルダーとの連携ができることを期待しています。

富山県立大学工学部環境工学科 教授 九里 徳泰