生活空間から都市空間まで、
時代に応え、未来を拓くYKK AP。

ステークホルダーダイアログ地域社会とのかかわり

地域社会の中のYKKグループに期待すること

 YKK グループは、対話を通じてステークホルダーの皆様と意見を交換するステークホルダーダイアログを2010年より毎年開催しています。第5回目(2014 年4月9日)のダイアログでは、前年に引き続きファシリテーターとして富山県立大学教授の九里徳泰先生をお迎えし、調達先から取引先、消費者、地域社会、環境団体、学生などあらゆる層のステークホルダーと意見を交換しました。

参加者の皆様(敬称略)

<ナチュラリスト>
八木 秀治
(黒部峡谷ナチュラリスト研究会 副会長)
<消費者>
稲垣 里佳
(富山県地球温暖化防止活動推進員)
<近隣自治体>
高本 美智子
(黒部市役所 市民生活部市民環境課 課長補佐・環境係長)
<環境団体>
万尾 和恵
(財団法人とやま環境財団協働交流課長)
<地域住民>
中村 敏幸
(村椿自治振興会 副会長)
<調達先>
坂本 信行
(関西ペイント販売株式会社北陸営業所 富山グループ)

<ファスニングお取引先>
長沢 良樹
(株式会社ゴールドウィン内部監査室 担当マネージャー)
<APお取引先>
平野 明
(平野工務店株式会社代表取締役)
<学生代表>
大石 直人
(富山県立大学工学部環境工学科4年)
<海外留学生>
金 俊
(富山県立大学大学院工学研究科環境工学専攻2年)
<ファシリテーター>
九里 徳泰
(富山県立大学工学部環境工学科 教授)

 黒部事業所の「ふるさとの森」を見学後、3つのグループに分かれ、ワークショップ形式でステークホルダーとYKKグループ社員との意見交換を行いました。

「ふるさとの森」の活用に関するご意見

 ワークショップ前半では、「ふるさとの森」を中心に黒部事業所見学の感想を述べ、「良かったこと」、「もっと良くしたいこと」について話し合いました。

 「ふるさとの森」がある黒部事業所の「YKKセンターパーク」は、産業観光スポットとして、一般開放されています。その中を見学していただき、気付いた点を述べていただきました。

 “YKKセンターパークは一般開放されているが、ゲートが入りづらい感じ。ゲートを何とかしてほしい”、“あまり知られていないのはもったいない。もっと地域の人にPRを!”といった意見が多くの方から集まりました。

  • ゲートが入りづらい印象。もっとフレンドリーな門構えにしてみては?

 “「ふるさとの森」の成長を実感した”との感想がありました。“工場の駐車場や屋根なども含めて、敷地内全体が緑になればもっとよい”、“YKK50ビルの屋上を開放して、森を見下ろせるようにしては?”といった意見も聞かれました。

 “景観がすばらしい”という意見がある一方で、“YKKグループの社員だけでなく、地域住民と一緒に森づくりをする仕組みができないか”との意見がありました。

  • 本社ビル屋上を解放して、森を見下ろせるようにしては?

YKKグループが未来に向けて発信できること

 ワークショップ後半では、「ふるさとの森」の活用に関して、ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な社会づくりのための教育)の可能性を中心に意見を交換し、集約した意見を発表しました。

“気づき”の創出の場に

さまざまな在来種の木が植えられた
「ふるさとの森」

関心の無い層をいかに巻き込むか—PRに工夫を

 風景写真コンテストなどのイベントは、幅広い人々に関心を持っていただくきっかけになりそうです。エコキッズ探検隊など社外向けのイベント以外に、社員とその家族向けのイベントもあったらよいと思います。YKKグループの社員がまずこの取り組みのことをよく知った上で宣伝大使として周囲にアピールすれば、もっと広がっていくのではないでしょうか。社会も自然の生態系もお互いのつながりで成り立っています。そうした「つながり」を確認する場にもなると思います。学校などでの教育活動(出前講座など)にも期待したいです。

“みんなで森をつくる心”を育てる場に

「地球環境を守る輪」をイメージして
貼られた提案

地域のコミュニケーション、「つながり」を生むきっかけに

 あらゆるステークホルダーが何らかの形で森づくりに関与できる仕組みはできないでしょうか?たとえば、新入社員が毎年入社式で記念植樹を行えば、全社的な取り組みとしてより浸透すると思います。また、地元の小中学生に植樹をさせるのも教育のために良さそうです。さらに地域の住民にボランティアとして整備に参加してもらうのはいかがでしょうか?「ふるさとの森」を自然遺産として未来に継承するためにも、“みんなで森をつくる心”を育てることが重要です。この取り組みが国内外に水平展開され、地球環境を守る輪ができることを期待しています。

“産業「環境」観光のモデルに“

ダイアログ会場となった「丸屋根展示館」
の空調に利用される地中熱交換器

地下水熱利用など、黒部ならではの取り組みを紹介する場にしては?

 黒部事業所は、工業見学だけでなく、環境や防災などの側面も取り入れた総合的な学習の場として活用できそうです。地下水熱利用など、黒部という地域の特性を活かした取り組みを紹介するために、地中熱交換器のモデル展示や吉田科学館とのコラボをしてみても面白いのではないでしょうか。ここには立山という観光資源がありますが、「ふるさとの森」もホタルや桜の名所としてアピールできると思います。ホタルの季節には開放時間を延長するなど、よりたくさんの人が訪れやすいようにして、公共スペースとしてもっと活用されることを期待します。

ステークホルダーからのご意見を踏まえて(2010〜2013年)

ご指摘・ご意見
YKKグループの対応
コンプライアンス
1. 海外を含めたコンプライアンスの向上 ・各極でのコンプライアンス体制の構築と環境相互監査の実施
2. 社員の意識や倫理観の向上 ・YKKグループ共通の経営倫理の浸透を目指した座談会の実施
・地域の状況に応じたルールの策定と運用
3. 「倫理なくしてコンプライアンス無し」
4. ものづくり=人づくり ・技術研修室(ファスニング)、技能道場(工機)、保全道場(AP)における技能の伝承
エコプロダクツ(ものづくり)
1. 商品を通した社会的責任 ・安全・防災など社会のニーズに応える商品の開発・供給
・高性能樹脂窓「APW330」と「APW430」の発売
・溶接を用いないサッシ施工方法「非溶接工法」により省力化・職人不足を解消
・リサイクルファスナー「ナチュロン」を使用したファスナー付き緑化袋の開発
2. 感性工学、ユニバーサルデザインの発想
3. 低炭素・循環型社会、社会ニーズへの対応
4. 不良品・廃棄物の出ないものづくり
環境負荷軽減
1. 低炭素社会への対応 ・地中熱利用空調システムの導入
・スコープ3によるCO2排出量算定を2013年度より開始
2. 化石燃料に頼らない、新エネへの対応 ・「 パッシブタウン黒部モデル」プロジェクト
3. 工場における環境対策の更なる推進 ・古御堂工場(ファスニング)の再構築、工機ファスナー専用機械工場の新設
地域社会
1. 協働のベストプラクティス提案
(ESDの活用など)
・清掃活動、東北復興支援ボランティア活動などの継続的展開
・地元小学生を対象とした「エコキッズ探検隊」を2012年度より実施
・行政・大学との協力による地下水調査
2. 個人の能力の社会への提供 ・保育所での環境教育や「くろべ水の少年団」の水生生物調査協力
・各種協会などへの出向
3. 各種出張授業
環境コミュニケーション
1. ものづくりの成果の「見える化」 ・社外表彰制度の活用など積極的なコミュニケーション活動の推進
2. 社外への環境情報公開 ・環境展示会への出展、情報発信
自然界との共生
1. 植樹の意味と最終目標 ・「ふるさとの森」づくり(2008年度から植樹を開始)
森の成長を知るために2011年度より5年毎に生き物調査を実施する予定
ふるさとの森・水辺のコンセプトを策定し、5年後に向けた整備プランを策定
2. 地域の生態系の中でビオトープ作り
3. 「ふるさとの森」とビオトープの活用方法
4. 地下水の使用による近隣地域への影響 ・地下水の現状把握と将来予想の調査・研究委託を2010年度より富山県立大学に依頼調査結果は黒部市の水資源政策の一環として全て開示
5. 黒部川扇状地全体を見据えた、地下水利用調査

ステークホルダーダイアログを通して

 YKKグループ ステークホルダーダイアログは、2010年より開催し5回目となりました。その間に、ステークホルダーの言葉に真摯に応え、東北事業所への導入、さらなるステークホルダーの拡充、新しいテーマへの挑戦を行い、5年間継続して行ってきたことを高く評価します。この5年で社会環境は大きく変化しました。サプライチェーン、特に供給網の上流にかかわる社会責任経営の必要性や本年11月に名古屋で開催されるESD(Education for Sustainable Development)世界会議では、世界から国際的な視点に立ち持続可能性を考えることのできる企業人材に注目が集まっています。
 昨年より社員も参加するワークショップ形式を開始し、本年は企業におけるESD活動を課題に参加者全員で取り組みました。これまでのYKKグループの地域との協働による環境活動をESDの視点でとらえなおすという「YKK×ESD」という新たな価値創造ができたと思います。黒部事業所のビオトープの生物多様性も年を追うごとに豊かになってきています。今後は10年継続を目標にさらなる前進をしていただきたいと思います。
 今後は日本、海外でのYKKグループの事業所においてこのようなステークホルダーとの連携ができることを期待しています。

富山県立大学工学部環境工学科 教授 九里 徳泰

社会・環境報告書2014