YKK AP

生活空間から都市空間まで、
時代に応え、未来を拓くYKK AP。

menu

カンパニー
YKKグループは、本業を通じた持続可能な社会への貢献に取り組んでまいります。

ステークホルダー・ダイアログ新しい価値の創造

共に考える「地域社会の中のYKKグループ」

─ 持続可能な社会づくりへの貢献に向けて ─

 YKKグループは、ステークホルダーの皆様と意見交換するステークホルダー・ダイアログを2010年より毎年開催しています。第8回目(2017年4月21日実施)のダイアログでは、前年のダイアログを受けて「低炭素型まちづくり」の具体化が着実に進む中、主に交通分野に関する意見交換を行いました。

参加者の皆様(敬称略)

<ナチュラリスト>
松木 紀久代氏
(黒部峡谷ナチュラリスト研究会 副会長)
<消費者>
稲垣 里佳氏
(富山県地球温暖化防止活動推進員)
<自治体>
高本 美智子氏
(黒部市役所 市民生活部市民環境課 主幹)
<環境団体>
佐野 敦氏
(公益財団法人とやま環境財団協働交流課長)

<地域住民>
島 澄夫氏
(村椿自治振興会 副会長)
<取引先>
平野 明氏
(平野工務店株式会社 代表取締役)
<学生>
浅野 秀光氏
(富山県立大学大学院工学研究科知能デザイン工学専攻)
<海外留学生>
金 美佳氏
(富山県立大学大学院工学研究科環境・社会基盤工学専攻)
<ファシリテーター>
九里 徳泰氏

産学官協働による社会実験

ダイアログの前半で、ステークホルダーの皆様には現在試験運行している黒部市内の南北をつなぐ循環バスにご乗車いただき、公共交通がもたらす可能性を体験していただきました。

 富山県黒部市では、地方創生に基づいた交通まちづくり事業の推進を目的に、2016年に黒部市、東京大学、YKK株式会社などを主体とした公共交通戦略推進協議会を発足させました。同協議会では、社会実験として、市内の南北をつなぐ循環バスの試験運行を開始し、将来的に公共交通とすることを目指しています。
 この協働の背景には、黒部市とYKKグループそれぞれが抱える課題がありました。黒部市の人口は現在4万人余りですが、人口減少が進み、約3割が65歳以上の高齢者、郊外への人口拡散などからも、持続可能なコンパクトシティを目指すことは不可避な状況にあります。居住地域の集積による行政コストの圧縮のみならず、中核となる街を結ぶバス路線の整備が必要と考えたのです。
 一方、YKK 黒部事業所では約7,000名が働いており、そのうち約9割がマイカー通勤をしています。事業拡大の過程で社員増員の必要性がありますが、これ以上の駐車場確保は難しく、通勤ラッシュ時には渋滞も発生しており、工場全体の効率性にも影響しています。YKKグループは、「技術の総本山」として製造・開発拠点をおく黒部において、公共交通機関が循環していれば、生産効率が上がるだけでなく、社員の働き方改革にもつながり、同時にマイカー通勤によるCO2排出量も削減可能になります。
 YKKグループでは、自社戦略の実現を通じて、将来的にはバスでの移動が黒部市の文化として根付いていき、コンパクトシティの好例として、黒部市の持続可能なまちづくりに貢献したいと考えています。

  • バスは複数の交通事業者により運行され、多様な車両が循環している

  • 通勤バスを市民にも提供する新しい地域交通モデルを目指す

自家用車に頼らない低炭素型のまちづくりを考える

ダイアログの後半では、ステークホルダーの皆様とYKKグループの社員が、自家用車に頼らない低炭素型のまちづくりをテーマにワークショップ形式で意見交換を行いました。

城下町をイメージしたドーナツ型都市づくりで、理想のコンパクトシティを目指す

 私たちがイメージしたのは、商業施設や医療機関をまちの中心に置き、それらへのアクセスがよい場所に高齢者が、更にその外側には元気な世代が住む住宅街、その周りを工業地区が囲む、歩いて移動できる城下町のようなドーナツ型の都市です。他にも、運河をはりめぐらせた物流網、交差点をロータリー化することもCO2削減になります。また、健康面でも利点があり、歩いた歩数に応じてポイントを付与し、提携した施設で買い物やサービスが受けられるというアイデアも実現できれば良いと思います。

自家用車に関する規制やインセンティブを上手に組み合わせたアプローチを推進する

 私たちは、自家用車を減らすためにガソリンの課税率を上げてその分を公共交通のインフラ整備に充てるのも一案ではないかと考えました。また、企業ができることとして自転車や徒歩で通勤することで手当てが支給される仕組みがあればマイカー通勤は減るかもしれません。その他、高齢化が進展する中で、高齢者の運転免許証返納を義務化して、返納の代わりにバスの利用が無料になる仕組みがあれば、公共交通の利用促進にとどまらず、歩くことで健康づくりにもつながると思います。

自家用車を持たない選択を可能にする仕組みづくりで、公共交通機関の利用を促す

 公共交通での通勤を当たり前にするためには、マイカー利用の意欲を減退させるという手段もあるかと思います。具体的には、駐車場を減らすことや、駐車場を料金制とすること、マイカー利用可能な通勤距離を変更すること、また、車のナンバーが偶数か奇数かでマイカー通勤の利用可能日を変えるなどすれば、現実的に公共交通の利用へとつながると考えました。更に、バスのルートとダイヤに関しては、人の移動のデータ集積と分析を活用して最適化することも考えられると思います。

より魅力的な環境情報の発信に向けて

 ダイアログでは更に、環境情報の発信についても意見が交わされました。「着実に取り組んでいる活動成果のより積極的な発信とコミュニケーションが必要」、「そもそも発信の目的や方針を社内で検討することが先決。そうすれば自ずと何をどのように発信するのかは見えてくる」など、本質的なご意見をいただきました。これらを受けYKKグループは、今後も更なる環境情報発信の強化に努めていきます。

ステークホルダー・ダイアログを通して

九里 徳泰氏 くのり のりやす

・相模女子大学学芸学部教授
 博士(工学)
・富山県立大学大学院工学研究科
 非常勤講師(環境経営)
・富山市政策参与
・富山市環境審議会会長

 ステークホルダー・ダイアログは、企業やステークホルダーが権利や義務を互いに主張する場ではなく、協働する場であり、企業がステークホルダーの意見を真摯に聞き、経営に取り入れ実践する作業です。本年度は、黒部市の「低炭素型まちづくりにおける交通」に関して話し合いました。「自家用車に頼らない、持たない」という低炭素交通を目指す具体的な意見、政策提案がなされました。また、企業の施策にとどまらず政策にも踏み込んだ発言もありました。これらの意見を受けYKKグループが地域、行政と協働し実践へと一歩を進めてほしいと思います。

社会・環境報告書2017