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サステナビリティストーリー特集 YKK APの目指すカーボンニュートラル

2020年、日本政府による「2050年カーボンニュートラル宣言」をきっかけに、日本でもカーボンニュートラルの取り組みが加速しています。なぜ取り組まなくてはならないのか、またYKK APはどのように貢献していこうとしているのかをご紹介します。

「気候危機」から地球を救うカーボンニュートラルの推進

政府は2020年10月に、2050年まで温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。排出全体をゼロにする、というのはCO2をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」などを差し引いた合計を実質的にゼロにすることを意味します。
世界の平均気温は2017年時点で、工業化以前(1850~1900年)と比べ、すでに約1℃上昇しています。もし、このペースが続けば、さらに気温は年々上昇することが予測されています。
このような地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて2015年に採択されたパリ協定で合意されたのが、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という「2℃目標」です。その実現に向けて、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げて取り組みを進めています。
さらに近年、「1.5℃」の上昇が地球環境に大きな影響を及ぼすことを裏付ける科学的証拠が相次いで発表されていることから、平均気温の上昇幅を1.5℃以内に抑える、より厳しい水準「1.5℃目標」が設定されました。

カーボンニュートラルのイメージ

カーボンニュートラルのイメージ

環境省「脱炭素ポータル」を参考に作成
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

温室効果ガス排出削減を経営戦略に組み込むYKK AP

温室効果ガス削減に取り組む企業に対し、科学的知見と整合した削減目標の設定を推進する国際的団体が、2014年に設立されたSBTイニシアチブ(Science Based Targets)です。SBTとは「科学的根拠に基づく目標」を指し、パリ協定が求める水準と整合する温室効果ガス削減目標を企業が策定する際のグローバル・スタンダードとなっています。
YKK APは日本企業の中でも比較的早い2017年からSBTイニシアチブに賛同し、自社で設定した目標にコミットしてきました。SBTの宣言基準は、2022年7月以降、より厳しい水準に引き上げられましたが、当社はそれに先駆けて「2℃を十分に下回る目標(Well below 2℃)」として、2021年2月に新基準に合致した認定を受けています。
また当社は、金融安定理事会が立ち上げた気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)にも2019年に賛同しました。気候変動がもたらすリスクや機会を把握するとともに、対策を含めて経営戦略に反映しています。(「環境との共生」や、「YKK AP環境報告書」でも詳しくご紹介しています)

スコープ1、2、3における目標策定と活動の推進

温室効果ガスの排出を抑制するためには、排出量を測る定義(範囲)が必要です。それが「スコープ1、2、3」です。
スコープ1は企業活動から直接的に排出される温室効果ガス、スコープ2は製造拠点やオフィスでの電力消費などにより間接的に排出される温室効果ガスです。そしてスコープ3はスコープ1、2以外で間接的に排出される温室効果ガスでサプライチェーン全般に関連します。
YKK APのCO2削減目標は、2030年度には、スコープ1、2で50%、スコープ3で30%削減(2013年度比)することです。その先には2050年の排出量ゼロを目指しています。

YKK AP商品のライフサイクルとCO2排出

YKK AP商品のライフサイクルとCO2排出の図 YKK AP商品のライフサイクルとCO2排出の図

YKK APのCO2排出量削減推移・目標と取り組みテーマ

YKK APのCO2排出量削減推移・目標と取り組みテーマの図 YKK APのCO2排出量削減推移・目標と取り組みテーマの図

〈スコープ3の取り組み〉材料リサイクル率向上や輸送効率改善

YKK APの事業活動に伴いサプライチェーン全体から排出されるCO2の内訳を分析すると、スコープ3の排出が大半を占めます。その中でも商品製造で使用する購入材料からの排出量が全体の8割を占めます(2020年度)。そのため当社にとって、材料における削減の取り組みがカーボンニュートラル実現に向けて最もインパクトが大きいと言えます。
購入材料のCO2排出量のうち、アルミ材が87%を占めます。アルミニウムは「電気の缶詰」とも呼ばれ、ボーキサイトなどの鉱物からアルミニウムとして精製する際に大量の電気を必要とするのです。
しかし、市中に出回ったアルミニウムをリサイクルする場合には優れた点が多く、「リサイクルの王様、優等生」ともいわれます。その理由は、鉱物から精製する際に必要な電気分解がもう必要なく、また融解する温度も660℃と金属の中では低く、鋳直す時にもエネルギーが少なくて済むから。一般に、鉱物から新しくアルミをつくる時に比べ、リサイクル材を使った場合に必要なエネルギーはたったの3%ともいわれています
アルミの窓枠をはじめ、自動車のタイヤホイールなど日本では高度経済成長の時代からアルミを使用した製品が多く出回っています。当社では、リサイクル専用炉を導入し、市中のアルミスクラップからのリサイクル利用を増やす取り組みを進めています。また、社内での製造工程で発生する端材などもすべてリサイクルすることで、サーキュラーエコノミーとCO2削減に貢献します。
また樹脂窓の製造や使用後に発生する樹脂のリサイクルにも取り組んでいます。製造時に発生する端材の社内リサイクル率は2021年度に27%でしたが、2024年には74%を目標としている他、住宅などでの樹脂窓使用後に廃棄されたものを活用するシステムについて業界団体とともに研究を進めています。
さらに、スコープ3では、商品や材料の輸送効率改善にも取り組んでいます。輸送ルートの集約や端数荷物の合積みによる積載性向上といった「幹線リレー輸送」、共同配送や隔日配送などの「二次配送」、鉄道コンテナを利用するなどの「モーダルシフト」に取り組んでいます。

YKK APのCO2排出量の内訳(2020年度)

サプライチェーン全体では材料調達(精錬等)による排出割合が大きく、その中でもアルミ材の占める割合が大きい

YKK APのCO2排出量の内訳(2020年度)の図 YKK APのCO2排出量の内訳(2020年度)の図

スコープ1、2の取り組み

製造工程の燃料削減(スコープ1)

自社の活動から直接排出されるCO2であるスコープ1において、当社では製造工程で使用される燃料削減に取り組んでいます。
既存技術で対応できるものとして、生産設備の省エネ、高効率化はもちろん、熱源設備の電化、ガスバーナーの使用による天然ガスへの切替などをすでに始めています。既存技術をもとに、カーボンニュートラルメタンへの切替、水素ガスとの混焼、ガスバーナーへの水素・アンモニア等使用に向けた開発・実証も進めています。

電力削減と創エネ(スコープ2)

企業活動において電力を使用することにより間接的に排出されるCO2を指すスコープ2。当社では電力削減のために「創エネ」「省エネ」に取り組んでいます。
「創エネ」では、太陽光発電(屋根上設置、野立て設置)、水力発電(配管に流れる水の力などを利用)、バイオマス発電・ボイラー(製造時に排出する木質、RPFを燃料として自家消費)、風力発電(工場内の排風利用)の導入トライアルを進めています。
これら再生可能エネルギーの導入は2022年度から飛躍的に増やす計画を立てており、特に、太陽光発電設備は国内外の工場に続々と設置しています。

見える化でカーボンニュートラルな設備を目指す

スコープ1、2のCO2排出量削減の進捗度合いを測るためには、排出量の見える化が必要です。当社の製造段階においては2021年度に設備別のエネルギー使用量を把握し、CO2排出量を可視化するデータベースを構築しました。2022年度には、そのデータベースをもとに新規設備の設計開発段階からCO2排出量の自動計算・可視化ができるようにします。
さらに商品においても「環境配慮設計評価シート」を改訂し、設計開発時の評価項目にCO2排出量を関連付けさせ、新商品を製造する時に、よりCO2排出量が少ない環境配慮設備の開発に誘導する仕組みを開始します。
こうした当社の取り組みを象徴する工場として計画している埼玉新工場が、2023年9月からの稼働を予定しています。埼玉新工場では、建屋の高断熱化、断熱性・換気性に優れた窓、調光照明、高効率空調等を採用し、太陽光発電と再生可能エネルギー電力を調達することで、カーボンニュートラルな工場を実現します。

自社への再生エネルギー導入によるCO2削減効果

  • ・ 遊休地・建屋屋根(新築・補強無)への導入
  • ・ 待機電力を基準とした導入
自社への再生エネルギー導入によるCO2削減効果の図 自社への再生エネルギー導入によるCO2削減効果の図

太陽光発電設備導入拠点

太陽光発電設備導入拠点の図 太陽光発電設備導入拠点の図

製品使用による社会全体でのCO2削減への貢献

社会全体のカーボンニュートラル実現に向け、住宅やビルの建設業界においては、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)やネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)の普及が進められています。
当社の算出によると、住宅において窓を介して外から屋内に流入する熱の量は全体の半分以上を占めます。当社の高断熱商品は冷暖房に使用するエネルギー量を減らし、CO2排出量の削減に大きく貢献します。これらの商品がもたらす社会全体でのCO2排出量削減への貢献は、2024年度に696千t-CO2を計画しています。これは、一般家庭から1年間に排出されるCO2排出量23万世帯に相当する量です。

国内で販売する高断熱商品によるCO2削減貢献量

高断熱商品の販売は社会全体の温室効果ガス削減に貢献すると言える

国内で販売する高断熱商品によるCO2削減貢献量の図 国内で販売する高断熱商品によるCO2削減貢献量の図
  • ※ 対象商品(サステナブル商品に準ずる)
  • 樹脂窓  :「APW 430」、「APW 330」、「プラマード H」
  • 複合窓  :「エピソードⅡ」、「APW 410」
  • 樹脂内窓 :「マドリモ 内窓 プラマードU」
  • 断熱ドア :「イノベスト」、「ヴェナート D30」、
    「かんたん ドアリモ」、「コンコード S30」
  • ビル断熱窓:「EXIMA 37」、「EXIMA 77」、「エピソードNEO-LB」
  • ※ 従来商品
  • 【新築】窓:アルミ複層、ドア:アルミドア
  • 【改修】窓:アルミ単板

社員の意識改革

当社は、社員が持続可能な社会につながる行動を意識・実践するイベント「環境アクション」を年2回開催しています。参加者は年々増え、2021年度の夏と冬のイベントでは参加率が97%を超えました。例えば2022年1~2月はカーボンニュートラルをテーマとし、環境省が推奨する「ゼロカーボンアクション」を社員が日々の生活でチャレンジしました。
社員一人ひとりの意識から変え、社会全体でのカーボンニュートラル達成に貢献していきます。

この記事は2022年8月に執筆しました