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ステークホルダーダイアログ YKK APのサステナビリティ

YKK APは、YKK創業者 吉田忠雄による地域社会のため、人のためにという思想を受け継ぎ、企業活動を行っています。
「SDGs入門」(日本経済出版社)などの著作を持ち、ESG投資や気候変動リスクに詳しい株式会社日本総合研究所の村上 芽氏が、
社長の堀 秀充と、YKK APのサステナビリティへの取り組みについて語り合いました。



YKK APのサステナビリティ

村上 芽 氏

株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
シニアマネジャー

堀 秀充

YKK AP 代表取締役社長

村上 芽 氏

株式会社日本総合研究所
創発戦略センター シニアマネジャー

京都大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て2003年に日本総合研究所入社。ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の支援や気候変動リスクと金融などが専門。近著に「SDGs入門」(日本経済出版社)

村上氏:体感ショールームを拝見し、優れた性能を体感すると同時に、SDGsに貢献する商品が多いことに気付かされました。

堀:当社の商品の価値は見ただけでは分かりにくいですが、実際に体感いただくと明瞭です。そのため、この体感ショールームは予想以上に高評価を得ています。断熱性能が良い窓は省エネという点で関心を集めていましたが、新型コロナウイルス問題を背景にキーワードは「健康」になりつつあります。

村上氏:消費者の関心が移ったということでしょうか。

堀:そうですね。換気への関心が高まっています。地窓を付けるといい空気を取り込み、高窓から室内の空気を排出できる、というふうに風の流れが重要なテーマです。窓が健康維持に大きく関わってくる。

村上氏:花粉の季節は窓をいつ開けるか、悩みますね。

堀:そうした窓の開閉方法や効率的な換気方法など、窓やドアに関わるさまざまな情報をホームページで公開しています。また、ドアは3D顔認証や非接触型のハンドルの開発を進めたいと考えています。防犯に役立つテクノロジーですが、新型コロナウイルス問題を背景にドアのハンドルを触りたくない人が増えているので、需要が増えると見込んでいます。

村上 芽 氏

村上氏:海外ならではの商品はありますか。

堀:米国ではハリケーンに対応できる窓を生産、販売しています。1996年のハリケーンで大損害が発生して以来、一定の基準をクリアしないと保険に入れなくなりました。日本では耐風圧性能の高いシャッターを併用して台風に備えるのが有効と考えます。

村上氏:省エネや自然災害に強い側面とともに、住み心地がいい住宅はウェルビーイング(暮らしやすさ)に貢献する商品になりますね。

堀:ご指摘の通り、「住む」ことがこれまで以上に重要になっています。在宅勤務が急激に増えました。職場で仕事をして、オフは家で過ごすのではなく、家で長時間仕事をするわけですから住まい方が変わります。家の「性能」についても関心が高まるでしょう。それまで昼間の家がどんな状況か知らなかった人も、明るさ、暑さや寒さなどが気になり、変えたいと思う人が増えると考えています。

村上氏:富山県黒部市にも本社機能を備えていますが、どのような背景がありますか。

堀:東日本大震災の経験から、東京で何かあったときのためのリスク対応、つまりBCPの意味合いで本社機能を持たせています。この新型コロナウイルス問題でも、東京での感染拡大を受けて黒部の対策本部から矢継ぎ早に対策を打ち出し実行できたりと、大きな効果をあげています。もう一つ重要なのは、黒部に行くと、YKK創業者 吉田忠雄がどういう思いでYKKグループをつくったのか認識できることがあります。冬は寒さが厳しい地域ですが、春になると雪解け水が湧き出てそれは美しい自然に出合うことができる。こうした自然環境こそが真の価値だと認識していたのがよく分かります。吉田忠雄の考えの中には、地域環境のため、人のためにビジネスをするという基本があるのです。

村上氏:SDGsへの取り組みが進んでいるスウェーデンも、環境が基盤でそのうえに人間の生活や経済活動が成り立っているという考え方ですが、SDGsが生まれるはるか前からそのような考え方を持っていたのですね。

堀:吉田忠雄は環境を守るために投資を含め、さまざまなアイデアを実行しました。工場の周囲に木々を植え、「森の中の工場」を目指していたりと、自然環境に重きを置いていた吉田忠雄ならではの考え方だったのでしょう。

村上氏:「環境のため、人のため」という考え方は、SDGsの17の目標と重なる部分が大きいですね。

吉田忠雄の考えの中には、地域環境のため、人のためにビジネスをするという基本があるのです。

堀 秀充

堀:その意味ではすでに取り組んできたことも多いですが、最近は自然災害など想定していなかったことも現実化しています。SDGsの17の目標一つひとつは当社の事業につながっている部分が多いですが、それは世の中に評価してもらって認識することではなく、社員一人ひとりがしっかりと事業に結びつけて腹落ちしたうえで、その価値を発信していかなければ社会に理解してもらえないと思います。

村上氏:他社が発信されている例として、同じプラスチック製品でもより良い材質に変えるといった努力がありますが、窓のフレームをアルミから樹脂に変えたのはSDGsの観点でどのような狙いがありますか。

堀:樹脂窓は省エネや断熱性能に優れていますが、材質は石油製品なので、リサイクルという観点ではアルミの方がしやすい。ですから現時点で樹脂はCO2削減に貢献する側面もあり、性能の面で重視していますが、SDGsの観点からいえば、次の材質は性能が良くて環境にもいいものでなくてはならない。そこで着目しているのは木(もく)の素材です。輸入ではなく、日本の木でないといけません。なぜなら、里山がなくなって、山と人が住む場所が一緒になっており、森林が荒れています。こうした森林をどうしていくかは国土を守るうえで大切なことです。

村上氏:木材の活用は多くの面で注目されていますね。

堀:杉は20~30年たつと酸素を出さなくなるので、伐採すべき木を伐採し、新たな木を植え、新陳代謝をしていかなければいけません。ヒノキも使う分だけ植林しようと考えています。木製の窓は性能もいいのですが、手入れが大変です。外側をカバーするなどして、手入れがいらない木や植物性の素材をどう活用していくか、未来に向かって取り組みを始めています。

村上氏:自然環境の面でも、木素材に期待が高まりますね。

堀:樹脂も含めて、お客様に届ける商品は、100パーセント再利用するなどして循環させることが理想です。いかなる素材でもどういうふうに回収するか。また出荷の時点から包装(パッキング)をどう減らしていくか。サステナビリティを経済活動と一致させていくための仕組みをしっかりつくっていきたいと考えています。

この対談は2020年3月23日に行われました


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