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サステナビリティストーリー ステークホルダーダイアログ 経済性と社会性を両立させるYKK APの経営戦略

2020年に人材版伊藤レポートを発行し、パーパスの重要性を説く伊藤 邦雄氏と、2021年にパーパスの策定を行ったYKK APの社長である堀 秀充が、YKK APの持続的な成長に向けた経営戦略について対談しました。



経済性と社会性を両立させるYKK APの経営戦略

伊藤 邦雄 氏

一橋大学
CFO教育研究センター長

堀 秀充

YKK AP 代表取締役社長

伊藤 邦雄 氏

一橋大学
CFO教育研究センター長

一橋大学名誉教授。元日本会計研究学会会長。経済産業省プロジェクト「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」では座長を務め、最終報告書(伊藤レポート)は海外でも大きな反響を呼び、その後の日本のコーポレートガバナンス改革を牽引した。2019年5月からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)コンソーシアム会長を務める。

社員に当事者意識が生まれる「パーパス」

堀:当社は、従来のYKK精神・経営理念に加えて社会における自社の存在意義、すなわちパーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」を定めました。

伊藤氏:企業理念に加えてパーパスを策定された事は素晴らしい。パーパスは現在の経営者と社員が作るので、当事者意識が生まれ、経営者と社員、社員同士の対話が生まれやすい。パーパスの議論は資本主義の見直しで、自分たちは何のために働き、自社は何のためにあるのかを問うことです。僕は、企業も社員も幸せになる方法を問いかけるものがパーパスだと思っています。

伊藤 邦雄 氏

堀:パーパスによって社員と対話することが重要なのですね。

伊藤氏:ええ。ある経営者に「パーパスは時に応じて変わってもいいのですか?」と聞かれたのですが、会社のコアテクノロジーや社会環境が大きく変わったらパーパスは変わっていいと思います。

堀:話し合ってつくり、変えられるものがパーパスですね。新入社員もこれなら分かりやすい。

YKK APの未来への布石

堀:ところで、今、当社は売上もシェアも上がっていますが、国内の市場規模を考えると、あと何年かで限界が来ます。私は、次の10年を見据えて、今、何をするかが非常に重要だと思っています。次を考えて行動を起こさないとイノベーションが生まれませんから。
行動の一つとして、IT部門に外部の人材を入れて強化しました。私は米国で17年間勤務したので、外部からの人材登用は当たり前という考え方です。その人材は米国での新たな取り組みに対する計画を進めています。
また、将来を見据えて、新規事業を推進する組織を新たにつくりました。建設現場では大工や施工技能者が減少しているので、その仕事を工場で行い、屋根、壁、基礎を一つのパッケージにして窓を組み込んだ商品を提供するというビジネスモデルなど、当社の今後のあるべき姿を検討しているんです。
さらに、コロナ禍でオンラインの可能性が広がったので、社員のバーチャル海外赴任を考えています。日本で技術開発する人材と海外会社をつなぐ計画です。さまざまな事情で海外転勤が困難な社員でも、日本にいながら海外の事業により深く携わることができます。 また、YKKグループでは2021年度より定年制度を廃止したので社員の平均年齢は上がりますが、管理職の平均年齢は下げたいと思っています。いずれは全社員の平均年齢より管理職の平均年齢が低くなるでしょう。

伊藤氏:コロナ禍によって変革がしやすくなりました。問題意識を持っていた企業も、平時には変えにくかったのです。

堀:今、社員に対して望んでいるのは、豊富な人脈を持ってほしいということです。特にトップレベルの社員は積極的にさまざまな集まりに出席して人脈をつくり、多様な話を聞いてきてほしい。多くの人と知り合ってあらゆる分野に興味を持っていないと、せっかく部下の持ってきた価値ある提案に気付かない恐れがあります。

伊藤氏:確かに、管理職が悪意なくイノベーションの芽をつんでしまうことがある。将来のビジネスモデルが頭打ちで新しい知恵が出ない場合、他の業界と接触がない点が理由であることが多いですね。
堀さんは長い海外勤務の経験によって、外から本丸(本社)を見ることができたため、本丸の問題がよく分かる。また、新戦略を生み出すユニークな発想があり、人材の能力や潜在能力を見抜ける点が素晴らしいです。

堀 秀充

SDGsとYKK APのマテリアリティ

堀:SDGsへの取り組みも重要課題ですが、さらにその先に向けた取り組みも必要だと考えています。

伊藤氏:日本企業はその組織ならではのマテリアリティの意識が薄い傾向があります。自社のマテリアリティと30年、50年かけて何を行うかを見極め、そこに到達するためにこの5年で何をやるか、という決め方をするといいと思います。

堀:例えば、これまでにはない機能を持つ窓を開発したいと考えているんです。ベンチャー企業などと取り組んでいきたいですね。

伊藤氏:御社は従来の生活様式をいい意味で変えられる企業です。世界が抱えている気候変動等の問題を、御社ならではのマテリアリティとする。そして社会課題を解決するような、テクノロジーのイノベーションを生み出してほしい。御社の今後の展開にますます期待しています。

この対談は2021年4月9日に行われました


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