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特集「樹脂窓でかなえる持続可能な社会」

YKK APが提案に力を入れているのが、自然の恵みを上手に利用しながら、小さなエネルギーで快適に暮らす「ローエネな暮らし」です。それを実現する上で重要なのが樹脂窓です。ここでは、なぜ当社が樹脂窓の普及に力を入れるようになったのかを、樹脂窓の持つ力、当社の普及活動とあわせてご紹介していきます。



ローエネに一番大切なのは窓

夏に部屋が暑くなったり、冬に部屋が寒くなったりするのは、何が一番の原因だと思いますか? 実は室内の温度に一番影響を与えているのが窓なのです。夏にはおよそ7割もの熱が窓から入り、冬には部屋の熱の半分が窓から出ていってしまうのです。その理由は、日本の住宅に広く普及しているフレームがアルミでできた窓が、極めて熱を伝えやすい特徴を持っていること。多くの熱が窓から出入りすることで、夏は暑く、冬は寒い環境になってしまうのです。そうした環境では、より多くの冷暖房エネルギーが必要となるので、CO2の排出量が増加し、地球環境にも悪影響を与えてしまいます。

ハイエネルギーに依存した20世紀を経て、人類による環境破壊は深刻さを増しています。その中で、「窓」をはじめとした開口部を主要ドメインとする当社は、四季の光や風、熱、水を利用して小さなエネルギーで快適に暮らす「ローエネな暮らし」を提案しています。より断熱性能の高い窓を開発して普及させることが、当社のみならず社会の持続的な成長を支えると考えています。そして、その成長を実現するのが、フレームが樹脂でできた断熱性能の高い窓、“樹脂窓”なのです。

夏 流入する熱の割合
冬 流入する熱の割合

※ YKK AP 算出
※ 夏:外気温33.4℃/室温27℃、冬:外気温0.5℃/室温20℃の場合


なぜ日本に樹脂窓が少ないのか?

当社がアルミサッシの生産・販売を始めたのは、1962年でした。この時代、高度成長期の真っただ中の日本では、全国で住宅の建設ラッシュが続いていました。そのような時代にあっては、従来の木製や鉄製の窓枠に比べて、水密性能や気密性能が高く大量生産が可能なアルミ製のサッシが求められたのです。

一方、樹脂窓の発祥国といわれているドイツではその頃には樹脂窓の普及が始まっていました。寒さの厳しいドイツなどのヨーロッパでは、いち早く断熱性能の高い樹脂窓が普及したのです。当社でも1983年には樹脂窓を製造、北海道を中心に販売しましたが、本格的に全国展開を始めたのは2000年代に入ってからです。海外と日本で樹脂窓の普及率が大きく違うのには、こうした歴史が隠されているのです。


時代の変化とともに樹脂窓へ本格参入

2009年、ニューヨークの国連本部で開かれた「国連気候変動サミット」で、当時の首相が温室効果ガスの25%削減を明言し、国内でも大きな注目を集めました。時を同じくして当社では、国内最高レベルの断熱性能を誇り、高い省エネ効果を発揮する樹脂窓「APW 330」の販売を始めました。しかし、価格の高い樹脂窓に対して周囲の反応は厳しく、お取引先やお客様のみならず、社内でも“樹脂窓アレルギー”がありました。しかし、社員が変われば、お取引先やお客様も変わる―そのような思いで、樹脂窓を浸透させようとしていた2011年に東日本大震災が起きたのです。

震災後にはエネルギー問題が顕在化し、日本中で大きな議論を呼びました。そして、「窓を考える会社として何ができるのか?」―という自問の中で、より省エネ効果のある商品をつくり、日本中に普及させることの意義を再確認し、一層の注力をしていこうと決意したのです。

やがて、樹脂窓が徐々に浸透するとともに、より性能の高い商品を求める声も増え、その声に応えるべく、開発と普及活動を行ってきました。

2014年には高性能トリプルガラス樹脂窓「APW 430」を発売。世界トップクラスの断熱性能を実現しつつも、シンプルで高いデザイン性を兼ね備えた樹脂窓です。2014年度の「省エネ大賞」をはじめ、2019年度には「GREEN GOOD DESIGN AWARDS」など、発売以来さまざまな方面で評価をいただいています。

2009年の「APW 330」発売以降、これまで順調に樹脂窓の販売を拡大しており、2018年度までに累計300万窓以上※1の樹脂窓を販売しております。当社の樹脂窓化率※2も2018年度には市場の値を大きく上回る24%となっております。販売の拡大とともに、2020年度までには樹脂窓化率を40%に引き上げることを目標にし、今後も普及活動に取り組んでいきます。また、樹脂窓に対する需要の拡大とともに、製造拠点も北海道・東北から関東、北陸、関西、四国へと全国に広げています。このように多くの製造拠点を持つのが当社ならではの強みであるとともに、需要地の近くで製造・供給することでロジスティクスでのCO2削減にも貢献していきたいと考えています。

※1 APW樹脂窓シリーズの累計販売セット数(2009年度〜2018年度)
※2 YKK AP住宅用窓の出荷セット数に占める樹脂窓の構成比率

樹脂窓は世界のスタンダード樹脂窓は世界のスタンダード
成長し続けるYKK APの樹脂窓

環境、経済、健康にも貢献する「断熱性能」

では、実際に樹脂窓にはどのような力があるのでしょうか? 実は、アルミと樹脂の熱伝導率にはおよそ1,400倍もの差があり、樹脂には圧倒的な断熱性能があります。それにより環境、経済、健康に対してさまざまな貢献が期待できるのです。

その一つが、冷暖房費の削減です。当社の高性能トリプルガラス樹脂窓「APW 430」と複層ガラスの一般的なアルミ窓の年間使用状況を比べた場合、アルミ窓の年間電気料金、CO2の排出量ともに樹脂窓を使用することで約45%の削減効果があるという結果になっており、経済面でも環境面でも大きなメリットがあるのです。

また、近年では、健康と室内温度の因果関係を指摘する研究報告が注目を集めていますが、その最たるものがヒートショックです。ヒートショックは、急激な温度変化を原因とする血圧の変動で意識の低下や脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などの原因にもなる現象です。国内では年間約17,000人もの方が入浴中の心肺停止で救急搬送されており、その多くを高齢者が占めています。

英国保健省の指針では、室内温度が16℃未満になると、健康に深刻なリスクが現れるとされています※3。一方の日本では、冬の室温が10℃以下になることも珍しくなく、室温に対する意識に大きな違いがあり、ヒートショックが発生しやすい環境にあるのです。しかし、樹脂窓が普及すればこうした危険な状況も予防することができ、思いがけない事故を防ぐことにもつながるのです。

※3 英国保健省イングランド公衆衛生庁
「イングランド防寒計画(Cold Weather Plan for England)」(2015.10)

年間電気料金71,104円→年間電気料金39,539円 約45%減

算出条件:[住宅断熱仕様]次世代省エネルギー基準適合レベル、[住宅モデル]「住宅事業建築主の判断の基準におけるエネルギー消費量計算方法の解説」の計算モデルに準拠 2階建て、延床面積:120.08㎡、開口比率:26.8%(Ⅲ~Ⅵ地域)、[使用ソフト]AE-Sim/Heat(建築の温熱環境シミュレーションプログラム)/株式会社 建築環境ソリューションズ、[気象データ]「拡張アメダス気象データ」2000年版 標準年(東京)/(一社)日本建築学会、[想定生活者]4人、[想定冷暖房機器]エアコン(COP:3.0)、[空調設定]暖房:20 ℃ /冷房:27 ℃・60%、居室のみ24時間連続運転(在室していない時間も含めて各居室を24時間連続して冷暖房を行う運転)、[通風利用条件]冷房運転時に外気温が室温(27 ℃ )より下がった場合に空調を停止して実施、[CO2排出原単位]0.525kg-CO2/kWh(東京電力2012年度CO2排出原単位)、[電力量単価]22円/kWh(税込)/(公社)全国家庭電気製品公正取引協議会 電力目安単価 ※2014年4月発売時点の単価で計算


普及を支えるコミュニケーション活動

このように、環境と経済、健康の面で大きな貢献ができる樹脂窓ですが、まだまだ日本での認知度が高いとは言えません。そこで当社では、建築会社などのプロユーザーやエンドユーザーなどの対象ごとにさまざまな普及・啓発活動を継続して行い、樹脂窓の良さを知っていただくことも務めであると考えています。

プロユーザーを対象にした「APWフォーラム&プレゼンテーション」の開催も当社が力を入れている普及・啓発活動の一つです。2012年度から全国で開催しているイベントで、有識者の方々とともに、樹脂窓のメリット、社会貢献性についてご案内しています。年々来場者も増えており、7年間で累計213会場、約45,000名のプロユーザーに来場いただきました。

そして、エンドユーザーに向けては、樹脂窓のメリットを紹介する冊子『マドコト』の発行や、高断熱住宅や断熱リフォームをテーマとする住宅雑誌『だん』(新建新聞社発行)の企画に参加するなどして、啓発に取り組んでいます。また、全国のショールームなどの展示施設では、実験機を使った体感展示も行っており、樹脂窓の効果を体感いただくことで、その良さを知っていただく機会を設けています。

こうした地道なコミュニケーションを続けることが、樹脂窓の普及、ひいては持続可能な社会をつくる道であると考えて今後とも取り組んでいきます。

ショールームの体感展示では、夏冬の環境を再現し、結露の発生状況を比較できます。

APWフォーラム&プレゼンテーションでは、高性能な家づくりとそれに大きな役割をはたす樹脂窓をプロユーザーにご説明。


リフォームとビル建築~新しい時代へ

2019年度の重要課題の一つとして、「リノベーション市場での断熱・耐震を軸とした需要創造と普及拡大」を掲げています。独自の改修工法を武器とし、窓・開口部の断熱性能、耐震性能、デザイン性、利便性の向上に積極的に取り組んでいきます。

その例が、当社の「かんたん マドリモ」です。既存の窓はそのままに、新しい窓をかぶせて取り付けるカバー工法で、窓の断熱性能や気密性能をアップさせ、健康で快適に暮らせる住まいへ変えることができます。壁を壊す必要がなく、足場も不要なため省コストでスピーディな工事が可能です。

また、低炭素社会への貢献に期待されているのがビル建築の高断熱化です。中でも、訪日外国人や国内旅行の増加で開業拡大が見込まれるホテルでは、窓の仕様や断熱構造が快適な宿泊のための重要なポイントとして着目されており、この分野においても当社の樹脂窓「HOTEL MADO」を通して、より快適な空間を提供していきたいと考えています。

断熱という一つの性能を通して社会をより良くする可能性に満ちた樹脂窓―。当社ではより高性能、高付加価値の商品を開発し、普及させることで、継続的な事業の成長とローエネ社会を実現していきます。

「かんたん マドリモ」は、一窓当たり約半日での施工が可能。

2018年12月に発売を始めたホテル専用高性能樹脂窓「HOTEL MADO」。 国内のビル商品としては最上位クラスの断熱性能を実現。


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