鍵とドアの歴史

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私たちの暮らしの中に当たり前のようにある鍵やドア。

いったいいつ誕生し、どのような道を経て現代までたどりついたのでしょうか。

その歴史を紐解いていくと、思わずうなってしまう驚きや発見がたくさんあります。

ここでは興味深い逸話を織りまぜながら、その壮大な物語をご紹介します。

普段何気なく使っているアイテムですが、知れば知るほど見方が変わってくるかも!

Lesson 01
古代から歩んできた遥かな物語の「扉」を開く

|紀元前4000年~2000年頃|
なんと数千年! 人類と鍵・錠前の長~いお付き合い※1

驚くことなかれ、鍵と錠前が誕生したのは古代エジプト文明でした。最古とされるエジプト錠は、紀元前2000年頃あるいは紀元前4000年頃のものなど諸説ありますが、そんな大昔からすでに現代の錠前に通じる仕組みを持っていたようです。

さらに古代ローマ帝国時代には、鍵を差し込んで回す金属製のものが作られており、これは現代に続く「ウォード錠」のルーツと言えるものでした。

出典:美和ロック株式会社企画・監修、赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年
里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版、2001年 

|紀元前200年頃|
古代ギリシアの神殿には自動ドアがあった!※3 ※5

片やドアのほうはいつ誕生したかというと、残念ながら正確な発祥についてはわかっていません。 たとえばウクライナにある世界最古の住居は約15,000年前にマンモスの骨で作られたものですが、そこに扉があったという記録はなし。

ただし、鍵と同様に古代文明のもとではすでにドアが存在していました。しかも、古代ギリシアの神殿には「自動ドア」もあったのです! 司祭が祭壇に火を灯して呪文を唱えると、ひとりでに開くというものでした。

天才科学者ヘロンの自動ドア

かがり火を灯すと燭台の下にある空気室の空気が膨張して水槽内の水面を押し下げます。すると下のバケツが下がり、定滑車を経てロープが引かれて回転軸が回り、扉が開くという仕組み。かがり火が消されると逆の現象が起こって扉が閉まります。

出典:志村史夫監修『図解古代文明の超技術』洋泉社、2015年

|西暦79年|
錠前の専門店も2000年前には営業開始※2

古代ローマで西暦79年に起きたベスビオ火山の噴火で、一夜にして火山灰の下に埋没したポンペイの町。
その遺跡から、錠前の専門店が発見されています。店内には様々な鍵や錠前が並べられ、奥には仕事場も・・・。
現在の錠前店とほとんど変わらない店構えで営業していたようです。

エンゲージリングのルーツは鍵だった!

ヨーロッパでは、いにしえから鍵は主婦が家政の権限を与えられていることの象徴でもありました。
たとえば古代ローマの男性は鍵を指輪状にして指にはめ、一生の伴侶とすべき女性にめぐり合うと、鍵を指から抜いて彼女の指にはめたそうです。
これが後世のエンゲージリングのルーツであると言われています。

出典:美和ロック株式会社企画・監修、赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年

セキュリティだけじゃない!
鍵は信頼と名誉のシンボルへ※1

古代ローマでウォード錠のルーツとなる錠前が生まれて以来、近代まで十数世紀にもわたり、そこから脱却した新しい方式に発展することはできませんでした。
それだけこの方式は錠前の発展の過程において革命的な前進だったのです。

その一方で、鍵は信頼と名誉の証にもなっていきます。

近世のロシア帝国やヨーロッパ全域で、王侯貴族の侍従や名家の執事に鍵を渡すことは、その人に大きな権限が与えられたことを意味したのでした。

鍵は主婦が持つ家政の権限の象徴でもありました。ドイツの古い銅版画などにも鍵束を腰に付けた婦人がよく描かれています。

出典:美和ロック株式会社企画・監修、赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年

Lesson 02
遅ればせながら、日本にも鍵とドアが登場

|紀元前1000年~西暦350年頃|
弥生人が愛用した木製のドア※4

さて、日本におけるドアの歴史はというと、弥生時代(紀元前1000年頃~西暦350年頃)の農耕村落遺跡である伊豆山木遺跡から木製の扉が出土されています。

世界からは遅れをとりましたが、日本でも紀元前からドアは使われていたようです。

伊豆山木遺跡の扉

縦横が約61cm×約48cm、厚さ約4cmの柾板で作られたもので、長編の片側に幅3cm、長さ10~13cmの軸釣があり、扉の遺物と考えられています。

出典:後藤守一編『伊豆 山木遺跡 - 弥生時代木製品の研究』築地書館

|西暦592年~710年|
日本初の錠前は飛鳥時代に登場※2

そして、錠前が日本に初めてお目見えしたのは飛鳥時代の7世紀中頃。

大阪府羽曳野市にある野々上遺跡で出土された錠前がそれで、海老のような形をしていることから「海老錠」と呼ばれます。残念ながら真っ赤に錆び付いていて、すでに操作はできません。操作できる最古の錠前は東大寺の正倉院に納められており、そちらは8世紀頃のものと見られています。

出典:里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版、2001年

|西暦1603年~1868年|
江戸時代にようやく錠前が普及※1

飛鳥時代から10世紀近く大きな変化がなかった日本の錠前ですが、江戸時代には専門の職人の手で製作が始められました。

ただし、錠前を必要とする階層は限られ、需要はごく少ないものでした。

庶民の長屋は露地が袋小路で地域のセキュリティレベルは意外と高く、家の戸に鍵をかける必要はなかったのかもしれません。

江戸時代は鍵を差し込んで回すウォード錠が主流。
土佐錠(上の写真)、京錠といった製造地の名前を取り、それぞれの特徴を持つ錠前が作られました。

出典: 赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年
里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版、2001年

ユニークな細工を施したからくり錠

江戸時代の錠前は鍵の違いがあまりなく、鍵穴も大きいため合鍵で開けられやすいという欠点がありました。
それを補完するように、様々なからくりを組み込んだ錠前が見られます。
たとえば鍵穴が複数あり、鍵を入れる順番を間違えると解錠しないものなどです。

方々のパーツを動かしてやっと鍵穴が現れるなど、様々な工夫が凝らされたからくり錠

出典:赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年
里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版、2001年

|西暦1868年~1912年|
洋風建築の増加とともにドアと錠前も普及※1

明治後期から大正時代に差し掛かる頃には、官庁、銀行、デパート、病院などを中心に洋風の建築が増えてドアも引戸から開き戸に変化。それに伴い、西洋風の錠前も需要が高まっていきました。

さらに昭和に入ると、それまで輸入に頼っていたシリンダー錠の開発が国内で進みます。

しかし、第二次世界大戦に突入すると金物メーカーは軍需産業への転換を余儀なくされ、その発展は足止めされました。

大正3年、白磁のノブ(握り玉)と鋳物製の錠本体を持つケースロック(箱錠)で構成される「白玉錠」が誕生。これが錠前の国産第1号とされています。

出典:美和ロック株式会社企画・監修、赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年

Lesson 03
戦後、錠前は庶民の「当たり前」となり、
さらに目覚ましく進化

|西暦1955年~|
高度経済成長期、円筒錠がたちまち普及※1

日本の庶民の暮らしに鍵や洋風の開き戸が一気に広がったのは、急ピッチで都市開発が進んだ昭和30年代からの高度経済成長期。

近代的な生活スタイルを追求した建物が増える中、簡単にドアに取り付けられる円筒錠(シリンドリカルロック)がたちまち普及したのでした。

出典:美和ロック株式会社企画・監修、
赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年

|西暦1970年~|
生活クオリティとともに防犯性やデザイン性もアップ※1

昭和30年代以降、団地の数が急増していくと、より質の高い住まいが求められ、防犯性の高い鍵とドアが必要とされました。

玄関ドアの内側に箱状のケース(錠箱)を取り付け、こじ開けを防ぐサムターン付シリンダー面付箱錠などがその一例です。

昭和40年後半には、レバーハンドルもノブも好きなデザインのものを選べるシリンダーケースロックという錠がもてはやされます。豊かな時代の象徴ですね。

出典:美和ロック株式会社企画・監修、
赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年

鍵とドアよ、いったいどこへ行く?※1

高度成長期の後半から、キーシステムは目覚しい進化を遂げ、電気錠、磁気カードなどのカード式、暗証番号を入力するテンキー方式など、便利でよりセキュリティの高い仕組みがどんどん登場していきます。
一方、ドアのほうも優れた断熱性や通風機構など快適生活を支える高度な機能を持つものへと進化していったのです。

さらにごく最近では、インターネットに家電などさまざまなモノをつないで暮らしをより便利にするIoT(Internet of Things)が注目されていますが、それにより鍵やドアにもまた新たな革命が起こるかもしれません。

出典
※1 美和ロック株式会社企画・監修、赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年
※2 里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版、2001年
※3 志村史夫監修『図解古代文明の超技術』洋泉社、2015年
※4 山田幸一監修、高橋康夫著『建具のはなし』鹿島出版会、1985年
※5 BOB WILCOX『DOORS 世界のドアをめぐる旅』グラフィック社、2016年 

Lesson 04
「スマートコントロールキー」で
お住まいの玄関ドアにも大きな進化を!

オフィスをはじめ銀行や商業施設の通用口ではカード式やテンキー式などのキーシステムが見られますが、実は大きく進化したキーシステムのドアをお住まいにも取付けられることをご存じでしょうか?

それが、新世代のキーシステム「スマートコントロールキー」。 「ピタットキー」「ポケットキー」「顔認証キー」の3タイプをご用意しています。

タグキーを近づけるだけで開け閉め

対応タイプ ポケットキー / ピタットキー / 顔認証キー

タグキーをハンドルに近づけるだけ。面倒なカギの操作を省いてスムーズに出入り。お子様でもかんたんに使えます。

スマートフォンで開け閉め

対応タイプ ポケットキー / ピタットキー / 顔認証キー

キーとして登録したスマートフォンを所持していればアプリ上での操作で施解錠ができます。

※アプリのダウンロードが必要です。
※外出時は必ず非常用収納カギを携帯してください。

カギを出さずにボタン1つで開け閉め

対応タイプ ポケットキー / 顔認証キー

リモコンをポケットやカバンの中に入れておけば、ドアハンドルのボタンを押すだけでカギを開け閉めできます。

離れた場所からでも開け閉め

対応タイプ ポケットキー / 顔認証キー

リモコン操作でカギを開け閉めできます。 操作可能範囲は、室外側約3m以内です。
(設置環境により変動します。)

ドアの前に立つだけで開け閉め

対応タイプ 顔認証キー

リモコンを携帯してドアの前に立つだけで施解錠。

【対象商品】

・M30 顔認証自動ドア
・イノベスト D70 D50(非防火)
・ヴェナート D30(非防火)
・コンコード S30(非防火) ※アルミタイプは除く
・ドアリモ 玄関ドア D30(非防火) ※アルミタイプは除く

※認証範囲があります
※リモコンキーはカバンやポケットに入れて携帯してください 

YKK APのスマートコントロールキー搭載可能なドアのご紹介

M30 顔認証自動ドア

玄関先で両手がふさがっていても顔認証で簡単解錠、自動開閉。ハンズフリーで快適に入室できる、引⼾タイプの自動ドア。
ベビーカーや車いす、自転車を押しながらの出入りにも便利です。

イノベスト D70 D50

上質素材にこだわり最上クラスの断熱性を誇るD70、豊富なデザイン・バリエーションを取り揃えるD50の2つのシリーズをご用意しています。

ヴェナート D30

細部までこだわりぬいた重厚なドアからモダンなドアまで、豊富なデザインがそろった玄関ドア「ヴェナート D30」。
カギを見せない高い防犯性と便利な機能を両立し、毎日のカギの開け閉めを、安心・快適にします。

コンコード S30

※顔認証キーは断熱タイプのみ設定

玄関に、家族にやさしく快適な 「引戸」という選択。
デザインバリエーションを豊富に取りそろえ、 省スペース化も実現。
さまざまな住宅にマッチする 玄関引戸シリーズです。

ドアリモ 玄関ドア D30

※顔認証キーは断熱ドアのみ設定

かんたんドアリモは、今あるドアや引戸の枠に新しい枠をかぶせるだけでかんたんに取替できる、新しいリフォームのカタチ。
既存の壁を壊さずにリフォームできるから、省コストでスピーディな工事を実現。

上記は2024年3月時点の情報です。

もっと知りたい方は

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