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窓を考える会社は住まいの安全・安心も考える

YKK APといえば「窓を考える会社」。その根本には、人の快適な暮らしを願い「住まいの安全・安心を考える会社」でありたいという想いを秘めています。
その一方、実際には住まいにおける「落ちる」「転ぶ」「はさむ・はさまれる」などの事故が多く発生しています。
YKK APの開発本部 価値検証センターでは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)などと連携して、住まいでの事故や傷害を予防するための検証や調査に取り組んでいます。ここでは、その活動をご紹介します。

YKK APが進める安全・安心への取り組み

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価値検証センターの3つの視点

「価値検証センター」では実際に商品を使う人の立場で商品の価値(性能、安全・安心、使いやすさ、快適)について3つの視点でさまざまな検証を行います。 1つめは、生活者の視点で商品の安全性や使い勝手を確かめる「生活者検証」。2つめは、独自の装置を使い、厳しい自然環境や使用環境を再現して各種性能を確かめる「実環境検証」。 3つめは、数値シミュレーションによって、商品の各種性能について評価する「数値シミュレーション検証」。商品開発・製造段階はもとより、お客様に商品をお届けし、お使いいただいている間のことまで検証しています。

  • 【生活者による検証】

  • 【環境再現による検証】

  • 【技術解析による検証】

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「生活者検証」の
取り組み

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実際の生活現場や価値検証センターにおいて、商品開発のさまざまな段階で、 生活者モニターの皆様とともに「(開発者の)意図通りに使っていただけるか」など、商品の安全・安心や使いやすさを確認しています。 得られた生活者視点の気づきやご意見、ご要望は商品に反映しています。

生活者検証の事例

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お宅訪問ヒアリング

検証担当者が生活者モニターのご自宅を訪問し、実際に使用している環境での使い方や操作を見せていただきます。同時に、お使いの建材商品の満足度や困り事、ご要望などをうかがいます。

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モニター検証

価値検証センター内のモニタリングルームに商品を設置。日常生活に近い状況で実際に商品を使っていただき、その様子を観察するとともに、ご意見をうかがいます。 たとえば、新機構の窓の開け閉めや、窓の手入れのための操作ができるか、しやすいかなどを確認します。

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多様な人の使いやすさ検証

子どもから大人、高齢者や車いすユーザーなど身体的特徴の異なる生活者モニターの方々に商品を実際に操作してもらい、安全性や使い勝手を確認します。 さまざまな生活者の視点で確認することで、より多くの人が安全・安心に使える商品につなげます。

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高齢者疑似体験

商品の開発担当者や検証担当者が、高齢者の身体的・精神的特徴を再現するキットを装着して商品を確認します。 自分以外の人の気持ちになってモノを見ることで、より多くの人にとって安全に使いやすい商品のアイデアを検討します。

生活者検証から商品化へ

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車いす配慮の大開口玄関引戸

車いす利用者の方から寄せられた「車いすに乗っていると引戸ハンドルに手が届きにくい」「開け閉めの際の、車いすの移動を減らしたい」といった困り事を早い段階で開発者と共有。 開発者が車いすに乗って検討を重ねたアイデアを、車いすモニターとさらに繰り返し検証しました。その結果から、安定した姿勢で手が届く専用バーハンドル、使いやすく配慮されたカギなどが商品化されました。 同商品で同じ幅の2枚建引戸と比べると、1.3倍以上に開口幅が広がり、出入りもスムーズです。もちろん、車いすをご利用でない方にも使いやすい商品です。

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玄関ドアの「室内側補助手すり」

生活者検証により、出入口から出るとき、挟まれないよう、閉まろうとするドアを押えながら出る高齢者や車いす利用者が一定数いることがわかりました。 そこで、ドアの室内側に手すりを設置し、手すりを握ってドアを留め、慌てずに出入りできるようにしました。玄関での転倒防止にもつながります。

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軽く開きゆっくり閉まる「大開口スライディング」

断熱性能が高い窓は重くなりがちですが、使いやすさと両立させるために新機構を採用。開閉に必要な力を、これまでの引違い窓に比べて10分の1にしました(摺動時)。 使いやすさを確認する検証では、子どもから高齢者、車いすを利用している方から「開け閉めが軽い」「戸先錠付サポートハンドルは、カギと窓の開閉がワンアクションでできて楽」と好評でした。 特に、車いすを利用している方からは「窓が重いと開けるとき車いすが動くので困っていた。この商品なら駐車用ブレーキをかけなくても楽に開閉でき、 スムーズに外に出られる」「段差がほとんどないので、車いすでも安心して出入りできる」など自宅でも使ってみたいという声が多く聞かれました。

生活者検証とものづくりの力が生む住まいの安全・安心

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西田 佳史氏は産総研で子どもと高齢者の安全に関する研究を行い、そのデータをものづくり企業に提供しています。安全を考える専門家の目には、YKK APの商品開発への姿勢や取り組みはどのように映るのでしょうか。 西田氏とYKK AP 米田の安全・安心に関する対談から、その姿が見えてきます。

生活機能の変化に伴う事故が新たな課題

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米田 昌文
(以下米田)

ここまで、建材に特化したYKK APの生活者検証の事例をいくつかご紹介させてもらいました。今後、日本は少子高齢化が進み、生活者層の特徴も変わっていくと思いますが、それに関連して西田さんが注目されていることを教えていただけますか?

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西田 佳史氏
(以下西田)

生活機能の変化に伴う事故です。東京消防庁の救急搬送に関するデータを見ると、0歳から4歳までが多く、5歳以降は減り、60歳を過ぎたあたりから再び増えていくことがわかります。 子どもの場合は、身体能力や認知能力が急激に発達し“今までできなかったことができるようになる”のが一因です。たとえば、高い場所に登れるようになること、1人で扉を開けられるようになることも事故につながります。 高齢者の場合はその逆で、認知症などを発症し“これまで難なくできたことに支障が生じる”ために、事故が起こります。

社会背景:救急搬送と生活機能変化の関係性

社会背景:救急搬送と生活機能変化の関係性

救急搬送者数は0歳から4歳くらいまでと、60歳以降に多い。前者は発達とともに起きる事故、後者は身体・認知能力の低下による事故と考えられる。救急搬送者数増加は介護の時期とも重なる。
出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所「社会背景:生活機能変化のエビデンス」をもとにYKK APにて作成

ものづくりで事故の予防につなげる

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米田

データで改めて見せていただくと、本当に子どもと高齢者の事故が多いのですね。子どもの事故はどのような特徴や傾向があるのでしょうか。

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西田

実は、乳幼児の死亡原因の第一位は事故です。世界的に見ても膨大な数の乳幼児が何らかの事故が原因で亡くなっています。私は、これはデザインの力で変えられるのではないかと考えています。 たとえば東京では、5年で100名ほどの子どもが住まいの窓やベランダから転落し救急搬送されています。実は、ベランダよりも窓からの転落の方が多いのです。 ニューヨーク市でも、1960年代には5年で120人の子どもが転落していました。しかし、同市は1970年代に「Children can't fly」というキャンペーンを行い、 11歳未満の子どもがいる家の窓に開口制限をつける法律を定めたところ、転落事故が94%減ったのです。日本もこうした取り組みを行うべきです。

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米田

私たちも窓の開口制限の使われ方を確認するため、生活者モニターの自宅を訪問して調査しています。子ども部屋を見せてもらうと、窓の近くに学習机やベッドが置かれ、背の低い子どもでも窓から身を乗り出すことができる状況が多く見られました。 聞き取りでも、実際に子どもが窓から身を乗り出してヒヤッとしたという経験がありました。YKK APではたてすべり出し窓に開口制限を標準装備しており、引違い窓でも開口制限をオプションで用意しています。

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西田

開口制限といった具体的な手段があると事故の予防につながります。そのようにものづくりで解決していくことはとても大事ですね。

子どもから目を離した後、
ベランダから落ちるまで7秒から11秒

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西田

「商品の工夫で住まいでの事故を減らす」のは非常に有効な手段だと思います。「お父さん、お母さん、気をつけてください」と注意喚起をしても、残念ながら効果は限定的です。なぜなら、どんなに気をつけていても事故は起こるからです。

産総研には、子どもの事故がどれくらいの速さで起きるのかを調査したデータがあります(下図参照)。それによると、子どもから目を離した後、ベランダから落ちるまでの時間は7秒から11秒。 料理や掃除などの家事、別の子どもの世話もある親御さんに、7秒すら目を離してはいけないとは言えません。

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西田

また、子どもが転ぶ時間は0.5秒。オリンピック選手でも、なんらかの周囲の変化に気づくまでに最低0.2秒かかります。つまり、残り0.3秒で救わなければいけない。少し離れたところにいたら間に合いません。 周囲の大人の見守りに頼るのではなく、商品や環境を改善することが重要なのです。

すでにYKK APは生活者検証をもとにしたものづくりで、新たなイノベーション、ひいては安全に関する課題の解決を目指していますね。きめ細やかな日本のものづくりの良さが発揮されているようです。 実際の生活環境の中で実験を行うリビングラボ(※1)という手法を取り入れようと、世界各国がしのぎを削っています。先ほどの開口制限の訪問検証のように、そういった手法を先駆的に実践しているのだと思います。
(※1)生活空間(Living)が実験室(Lab)という考えのもと、実際の生活環境や社会で行う実験

高齢者の行動観察から、
視認性の高い手すりの実証実験に至る

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米田

はい、今後もリビングラボの考えを強化・継続できるようにしたいと思います。ところで、高齢者の事故にはどのようなものがありますか?

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西田

まず挙げられるのが転倒・転落です。次に、お風呂場での溺水やヒートショック(※2)、窒息・誤飲、熱中症と続きます。YKK APは、産総研と共に高齢者の商品安全に関する事業に参画されています。 高齢者が手すりを使うときの行動観察から、壁と手すりの色のコントラストに着目。転倒予防のため、高齢者でも視認性のよい手すりの実証実験などにも取り組まれていますね。
(※2)ヒートショック:家の中で温度差の大きな場所へ移動した際、血圧が急激に変動することで、失神、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす現象

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米田

高齢者の中には、「自分はまだ大丈夫」と思っている方も多くいらっしゃいます。しかし、転んで骨折すると体を動かすことが億劫になり、一気に身体機能が低下しがちです。 手すりは比較的簡単に取り付けられますし、転倒予防が期待できるので、出入り口などにはぜひ手すりをつけてほしいものです。

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西田

手や指の力が衰えても開閉できる扉や窓に変更するなどの工夫も大事だと思います。生活機能の変化に合わせて、ひとりでも生活できるよう環境を変化させる。それにより、認知機能の衰えの予防も期待できますから。

乳幼児期、妊娠中、老年期など
身体の変化を細かく区切って必要な要素を考えるべき

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米田

また、生活機能の変化に合わせて環境を変化させることは、自立した生活を続けられることにつながります。QOL(Quality of life;生活の質)にも影響を及ぼすので、 価値検証を通してその重要性を立証し、ものづくりにつながるように情報発信していきたいと思います。西田さんはものづくりによって、“誰もが安全・安心に暮らせる住まい”は実現できると思いますか?

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西田

さまざまな人が使えるデザインとして取り上げられる「ユニバーサルデザイン」(※3)は、健常者にも障がいのある方にも使いやすい、と理解されがちです。 しかし、私は「健常者」「障がい者」という大きな区切りでは不完全だと思っています。健常者でも、乳幼児期、妊娠中、老年期などと身体の変化を細かく区切ってそれぞれに必要な要素を考え、 そうしたきめ細やかな配慮の集合として、ユニバーサルデザインがあるべきではないでしょうか。これを追求した先に、誰もが安全・安心に暮らせる住まいが実現できると考えます。 YKK APは、まさにそうしたさまざまなユーザーの生活を思い描きながら、安全・安心に配慮したものづくりを行っていますね。今後もぜひ継続してほしいと思います。
(※3)障害の有無や年齢、性別、国籍、人種などを問わずさまざまな人々が使えることを目的としたデザイン

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米田

ありがとうございます。これからも、住まいの安全・安心、使いやすさ、新しい価値の実現に真摯に向き合っていきたいと思います。

※当記事には、西田佳史氏の安全に関する客観的なご意見を反映しております。
西田氏がYKK AP商品を推奨しているものではありません。

プロフィール

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YKK AP株式会社 開発本部
価値検証センター
ユーザー検証グループ グループ長

米田 昌文(よねだ まさふみ)

価値検証センターの開設時から生活者検証を担当。現在は、使用現場を重視したユーザー視点の検証とマニュアル制作に従事。

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国立研究開発法人 産業技術総合研究所
人工知能研究センター 首席研究員

西田 佳史(にしだ よしふみ)氏

人間の日常生活行動の観察技術とモデリング技術、製品安全技術、社会参加支援技術などに従事。

安全・安心を守る商品開発の背景

東京消防庁管内の救急搬送データ(出典:東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活事故の実態 平成29年」)によると、日常生活で「落ちる」「転ぶ」「はさむ・はさまれる」事故が多く発生しています。 これらは窓などの開口部周辺でも、起こる可能性も想定されるもの。では、どういった状況で事故が発生するのでしょうか。


落ちる

車階段や脚立などから「落ちる」事故で、2017年には約1万6,000人以上が救急搬送されました。0〜4歳が飛び抜けて多く、約2,300人を占めます。住まいの窓やバルコニーなど高所からの転落は、生命に危険を及ぼす恐れがあります。 棚などの家具も子どもにとっては遊具のようなもの。手すり付近に子どもがよじ登れるような、棚やエアコンの室外機などを置かないなど配慮が必要です。


転ぶ

日常生活における事故で最も多いのが「転ぶ」事故です。2017年では約7万7,000人と、救急搬送全体の約69%を占めました。特に65歳以上の高齢者に多くなっています。 住まいの玄関や廊下、階段、居室など場所を選ばず発生していますが、階段での事故が多い傾向があります。要所に手すりを設置し、使用する習慣をつけることなどが予防につながります。


はさむ・
はさまれる

手足の指を「はさむ・はさまれる」事故は0〜4歳に多く、玄関ドアや室内ドア、窓の障子の開け閉めの際に発生しています。ドアの場合、開く側のみでなく、丁番のある吊元で指を挟むことも。 親や兄弟がドアや窓を開け閉めするときに、不注意で巻き込んでしまうケースも少なくありません。

出典:東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活事故の実態 平成29年」

安全・安心に配慮した商品

YKK APでは、上記のような事故の発生を軽減する、住まいの安全・安心に配慮した商品を数多く開発してきました。そのラインナップをご紹介します。
※一部リフォームでも取り付け可能です。


転落・転倒防止に配慮

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開口制限ストッパー

開口幅7cmの状態で固定できるストッパー。安全に配慮しながら通風・換気ができます。 既存の窓に簡単に取り付け可能。
※オプションです

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脱着ノブクレセント

取り外しできるノブクレセント。施錠・解錠するときのみ使用し普段は外しておけば、 子どもが自由に窓を開けられず、転落を防止できます。 
※オプションです

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木質インテリア建材 ラフォレスタ 手すり

インテリア空間をトータルコーディネートしやすい木質素材の手すり。 玄関や階段、廊下、トイレなどに自由に取り付けられ、 歩行のほか暮らしの中のちょっとした動作がぐんと楽になります。

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室内側補助手すり

扉の室内側に手すりを設置することで、手すりに重心をかけながら歩行が可能となり、 体が安定し出入りの安全性が向上します。 さらに“靴の脱ぎ・履き”や“立ち・座り”の動作の補助となり、転倒防止につながります。
※ビル用スチール商品 ※「R's SDX」、「EXIMA80St」のみ対応できます ※オプションです


車いす配慮

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APW 431 大開口スライディング

軽い力で開けられゆっくり閉まるスライディング窓。開閉に必要な力はこれまでの10分の1。 車いすユーザーも安全・快適に開けられ、出入りできます。

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玄関引戸 れん樹 大開口引戸

袖パネルに2枚連動障子を引き込むことで、引違い戸よりも広い開口幅を確保。 「車いす配慮仕様」では、車いすユーザーが届く位置にバーハンドルや錠を配置しました。


指はさみ配慮

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指はさみ防止用ストッパー

サッシ枠に取り付け、指はさみを防止する部品です。窓を開くと自動的にストッパーが出てきて、閉めるときに障子に当たって隙間をつくります。
※オプションです

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木質インテリア建材 ラフォレスタ
室内引戸 ダブルクローズ機構

閉めるときも開けるときも「ソフトクローズ機構」が働き、扉をゆっくり確実に引き込み、指はさみの防止に配慮しています。