1.春の悩みのたね「花粉症」
毎年春先になると、花粉飛散のニュースを皮切りに鼻をグシュグシュさせたり、目を真っ赤にさせたり、マスクをしたりしている人を数多く見かけるようになります。今や日本人の約25%が花粉症患者。たくさんの人を悩ませる身近な病気と言えるのです。
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こします。花粉の飛ぶ季節に限定されるので、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。
花粉の飛ぶ季節は植物によって違うので秋や冬にも花粉症はありますが、とくに多いのが春先から飛ぶスギ花粉によるもの。鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合も多く、のどのかゆみ、皮膚のかゆみなどの症状が現れることがあります。ある年突然、発症するのが特徴で「去年まではなんともなかったのに今年いきなり花粉症になってしまった」という人もたくさんいます。
2.花粉症を防ぐにはどうすればいいの?
体は大量の花粉に接すると、花粉に対する抗体を作る可能性が高くなります。抗体をたくさん作ると、何らかのきっかけで花粉症を発症しやすくなってしまいます。また、症状が軽く、花粉症であることに気づいていなかった人も、大量の花粉を鼻から吸い込んだり、目に入ったりすると、花粉症の症状が強くなります。
そのため、花粉症を防ぐ、あるいは悪化させないようにするには、なるべく花粉に接しないことが大事。室内への花粉の侵入は、約4割は衣類や洗濯物への付着によるもの、そして約6割が換気によるものとされています。
まず花粉の季節は、できれば洗濯物を外に干さないこと、干す場合は取り込むときに十分払うこと。また出かけた時などに衣服に花粉が付くことが多いので、帰ってきたら家に入る前に専用ブラシなどで服や髪に付いた花粉を落とし、室内に持ち込まないようにしましょう。
3.換気の工夫と掃除で花粉を減らそう
窓から入ってくる花粉は、どう防げばいいのでしょうか。窓は開けないほうがいいのですが、花粉飛散シーズンでも換気は必要。窓を閉めっぱなしというわけにはいきません。
この季節の上手な換気法は、窓を細めに開け、レースのカーテンを通して風を入れること。
3LDKのマンション1戸で窓を全開にして1時間の換気した場合、侵入する花粉は約1000万個ですが、窓を10cm幅程度に開いてレースのカーテンを通せば約4分の1に減らせます(環境省「花粉症環境保健マニュアル」より)。窓を開けている時間は短めに、10分程度で十分。
侵入した花粉は窓の下や床にたまりやすいので、掃除しましょう。エアコンのフィルターや網戸にも花粉が付いているので、忘れずに掃除機で吸い取ります。意外に見落としがちなのがカーテン。窓の開閉で花粉が付きやすく、手垢などで汚れているので、花粉の季節は自宅で丸洗い可能なタイプを使用し、こまめに洗濯しましょう。
4.窓まわりの工夫やリフォームで花粉を徹底ブロック
「スギ花粉が多く飛ぶ場所に住んでいる」「家族全員が花粉症で困っている」「症状がひどい」など、徹底した花粉対策が必要な場合には、窓まわりでできる工夫やリフォームという手もあります。
まず簡単なものとしては、網戸の交換。特殊な加工をしたフィルターを付けた網戸なら、花粉の侵入を8割カットすることができます。
また窓枠とガラス窓の間に工夫を凝らし、花粉やホコリがたまりにくい構造にした窓もあります。
やや大掛かりになりますが、ガーデンルームを設置すれば、花粉を気にせず太陽光で洗濯物を干すことができます。
花粉症は一度なってしまうと翌年以降も繰り返すことが多く、やっかいなもの。あなたやあなたのご家族のライフスタイルに合う花粉対策を見つけ、実践してみてください。