第1話 梅雨時の体調変化と窓 イラスト

梅雨というと気になるのが湿気です。湿気とは空気の中に含まれている水のことですね。「湿気」と言っても、実は2種類の湿気があります。天気予報などで、よく湿度○○%などと言いますが、これは空気中の水分の割合を表す「相対湿度」のことです。その他に空気中の水分の量を表す「絶対湿度」という概念があります。
湿度は気温と密接な関係があります。空気は暖かいほうがたくさん水蒸気(湿気)を含むことができるので、同じ湿度50%でも、夏と冬なら気温が高い夏のほうが空気の中の水蒸気の量が増えるのです。相対湿度が100%になると空気中に含まれる水蒸気が飽和状態となり、それ以上は水蒸気を含めないので、家の中などに結露が生じます。

梅雨時の天気の特徴を知り、しっかり体調管理を

梅雨時の天候の特徴といえば、やはり雨。雨が降れば、湿度が上がりジメジメします。朝夕の気温差が激しいことも特徴ですね。気圧変化も大きいのも、梅雨時ならではです。

この気候は人の健康に様々な影響を与えます。関節痛に悩む人が増えますし、水虫の悪化、偏頭痛やむくみなども起こりやすくなります。内臓ですと、胃腸にも影響が出て、腹部の張りや下痢が起こりやすくなります。カビ・ダニの繁殖、食中毒なども増えます。

温度湿度の調整には、やはりエアコンを使用することが多いと思います。今は節電で28度設定のところが多いですが、少し前まではもっと低く設定していることが多かったのではないでしょうか。そうすると心配なのが、冷房病です。アメリカの空調学会の基準からすると、夏場は22.8~26.1℃、湿度は40~60%が快適に生活する環境であると言われています。日本の基準ですと、ビル管理法では40~70%、学校保健法では30~70%とあります。目安にはなりますが、温度は25℃、湿度50%くらいの環境設定が理想的と言えると思います。快適な温度は人それぞれですから、自分に合った環境設定をするとよいでしょう。

動物を頻繁に寒暖差のある環境で飼育すると、身体の体温調節機能が低下して、自律神経失調症になってしまいます。人間も同じで、寒暖差の激しい生活は自律神経系に影響を与えるので、室内、屋外の温度を考えながら空調設定を考えることが大切です。

また梅雨時は高温多湿なので、食中毒の危険性も高くなります。食中毒予防の三大ポイント、それは食中毒菌を「つけない」「増やさない」「殺す」です。これは食事を作るときも、食べるときも同じことが言えます。「食中毒菌をつけない、増やさない、殺す」を合言葉に、“快適な温湿度環境の設定”と“安全な食事環境”を整備して、この時期を元気に乗り過ごしましょう。

室内の温度は25℃ 湿度は50%くらいが理想的
室内の温度は25℃ 湿度は50%くらいが理想的

部屋の中から湿気を追い出そう

最近の高気密高断熱住宅ですと、どうしても屋内に湿気がたまりやすくなります。昔は壁が「漆喰(しっくい)」で施工されていました。漆喰は、呼吸をする壁などとも言われていて、調湿機能があることが知られています。また、高い防火・防水機能があるため、台風や火災から家を守る働きがあり、そのうえ防音や湿度調整もしてくれます。我々の健康を守る建築材として、いま再び注目されているのです。

家の中での湿気を出すモトは、人体そのもの、調理や洗濯物、室内にある観賞用植木、水槽や浴室などです。皆さんは、自分が寝ている間にどれだけの湿気を出しているか知っていますか。通常の環境下では、ひと晩に約500gの水分を寝室内に、特に寝具にしみ込ませているのです。昔は畳の上に布団を敷いて寝ていたので、少しは寝具も呼吸をして湿気を追い出していてくれたのですが、最近は住環境の変化(ベッドの利用やフローリングなど)により、そのような機能は期待できません。ですから、天気の良い日には寝具の日干しをすることをおすすめします。

湿気対策のひとつに換気が挙げられますが、室内の換気には注意することがあります。ただ窓を開ければよいというものではありません。空気の流れを作るよう、対角線方向の窓を開けるようにするとよいでしょう。入浴も湿気を大量に排出します。入浴中は窓を開けておくか、換気扇をまわすようにすると、湿気を家の中に溜め込みません。入浴後も、浴室の壁が乾くまで換気扇をまわしておくか、窓を開けておきましょう。

ダニやカビの発生を防ぐには湿度管理が重要です。相対湿度が60%以上を超えると発生しやすくなりますので、湿度を50%以下に抑えるよう努力することが大事です。窓が結露を起こすようであれば要注意。一家に一台、湿度計を設置して、家の中の湿度管理をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。湿度計は、今は安価なものがたくさんありますから、ぜひとも導入を検討してみてください。先に述べた漆喰も、いろいろなタイプのものが販売されているので、リフォームなどの際には試してみたらよいと思います。

家の中には湿気のモトがいっぱい!!
家の中には湿気のモトがいっぱい!!

まとめ:梅雨時の湿度対策にも窓が一役買います

家の中までジメジメと不快な感じが続く梅雨時。雨などで思うように換気ができないときも、断熱性の高い窓なら、エアコンの利きがよくなり、湿度対策にも有効です。湿気がこもりやすいお風呂の窓には、ガラスルーパー窓やオーニング窓なら、視界をさえぎりつつ換気のしやすいお風呂場づくりがしやすくなります。冬のお風呂場を考えると、ヒートショックにも気をつけたいところ。浴室でも使用できる二重窓や、断熱効果のある窓なら、ヒートショック対策にも結露対策にも有効です。このように、健康的な住まいづくりには、窓が一役買っているのです。

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※YKK APより井川先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。

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