技術資料シーリング

※参考文献 :
(一社)日本サッシ協会「わかりやすいサッシ・ドアの性能 BASIS 2021」

JIS A 5758による種類

タイプ クラス サブクラス 防火設備
G 25 LM G-25LM
HM G-25HM
20 LM G-20LM
HM G-20HM
30S LM G-30SLM
HM G-30SHM
F 25 LM F-25LM
HM F-25HM
20 LM F-20LM
HM F-20HM
12.5 E F-12.5E
P F-12.5P
7.5 F-7.5
用途による区分
G : グレイジング、F : グレイジング以外
引張応力による区分
LM : 低モジュラス、HM : 高モジュラス
弾性復元性による区分
E : 弾性、P : 塑性

JIS A 5758の付属書2による種類

主成分による区分 製品形態による区分 耐久性による区分 呼び方
シリコーン系 1成分形 10030 SR-1-10030
9030 SR-1-9030
9030G SR-1-9030G
2成分形 10030 SR-2-10030
(9030) (SR-2-9030)
変成シリコーン系 1成分形 9030 MS-1-9030
8020 MS-1-8020
2成分形 9030 MS-2-9030
(8020) (MS-2-8020)
ポリサルファイド系 1成分形 (9030) (PS-1-9030)
8020 PS-1-8020
2成分形 9030 PS-2-9030
8020 PS-2-8020
アクリルウレタン系 2成分形 9030 UA-2-9030
(8020) (UA-2-8020)
ポリウレタン系 1成分形 9030 PU-1-9030
8020 PU-1-8020
(7020) (PU-1-7020)
2成分形 (9030) (PU-2-9030)
8020 PU-2-8020
(7020) (PU-2-7020)
アクリル系 1成分形 7020 AC-1-7020
(7010) (AC-1-7010)
( )は、JIS A 5758の附属書2に耐久性区分として規定されているが、現在市販されていないものを示す。

構法・部位・構成材とシーリング材の適切な組み合わせ

目地の
区分
構法・部位・構成材 シリコーン系※3 変成シリコーン系 ポリサルファイド系 アクリルウレタン系 ポリウレタン系 アクリル系
2成分形 1成分形 2成分形 1成分形 2成分形 1成分形 2成分形 2成分形 1成分形 1成分形
低モジュラス※4 高・中モジュラス※5 低モジュラス※4
ワーキングジョイント カーテンウォール ガラス・マリオン方式 ガラス回り目地
方立無目ジョイント
金属パネル方式 ガラス回り目地
パネル間目地 ※6
PCパネル方式 石打込みPC
タイル打込みPC
吹付塗装PC
PCパネル間目地
窓枠回り目地
ガラス回り目地 ※6 ※6
各種外装パネル ALCパネル
(スライド、ロッキング構法)※1
ALCパネル間目地
窓枠回り目地
塗装あり※2 ※7
塗装なし
塗装アルミニウムパネル
(強制乾燥・焼付塗装)
パネル間目地 ※6 ※6
塗装鋼板、ほうろう鋼板パネル パネル間目地・窓枠回り目地
GRC、押出成形セメント板 パネル間目地
窓枠回り目地
塗装あり※2
塗装なし
窯業系サイディング パネル間目地
窓枠回り目地
塗装あり※2 ※9
塗装なし ※8 ※9
金属製建具 ガラス回り ガラス回り目地
建具回り 水切・皿板目地 ※6
建具間目地
工場シール シーリング材受け
笠木 金属製笠木 笠木間目地 ※6
石材笠木 笠木間目地
PCa笠木 笠木間目地
ノンワーキングジョイント コンクリート壁 RCa壁、壁式PCa 打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地
窓枠回り目地
塗装あり※2
塗装なし
石張り(湿式)
(石打込みPCa、石目地を含む)
石目地
窓枠回り目地
タイル張り
(タイル打込みPCaを含む)
タイル目地 ※10
タイル下躯体目地
窓枠回り目地
外装パネル ALCパネル
(ボルト止め構法)※1
ALCパネル間目地 塗装あり※2
塗装なし
窓枠回り目地 塗装あり※2
塗装なし
この表は一般的目安であり、実際の適用にはシーリング材製造業者に問い合わせを行い、十分に確認することが必要である。
表中で○印を付してないものでも事前検討すれば適用可能なものもあるため、「外壁接合部の水密指針および施工に関する技術指針・同解説」を参照されたい。
  1. 50%引張応力0.2N/mm²以下の材料を使用する。
  2. シーリング材への表面塗装については事前確認することが必要である。
  3. SSG構法に適用される構造シーラントは、ここでは対象外とする。SSG構法に適用するシーリング材は、JASS17(ガラス工事)に従う。
  4. 50%引張応力0.2N/mm²未満
  5. 高モジュラス : 50%引張応力0.4N/mm²以上、中モジュラス : 50%引張応力0.2N/mm²以上0.4N/mm²未満
  6. 汚染の可能性があるため注意を要する。
  7. 経時でシーリング材が硬くなり、柔軟性が低下するものもあるので事前検討を十分に行う。また、スライド構法の横目地、窓枠回り目地には適用できない。
  8. サイディングを用途とする応力緩和型を使用する。
  9. サイディングを用途とした材料を使用する。
  10. 薄層部が残らないよう注意する。

異種シーリング材の打継ぎの目安

※シーリングハンドブック2013年9月発行より抜粋
後打ち先打ち
シリコーン系 シリコーン系 ポリイソ
ブチレン系
変成
シリコーン系
ポリサル
ファイド系
アクリル
ウレタン系
ポリ
ウレタン系
アクリル系
2成分形
1成分形
(低モジュラス)
1成分形
(高モジュラス)
シリコーン系 2成分形
1成分形(低モジュラス)
× × × × ×
シリコーン系 1成分形(高モジュラス) × × × × × ×
ポリイソブチレン系
変成シリコーン系
ポリサルファイド系
アクリルウレタン系
ポリウレタン系
アクリル系 ×

(注)

  1. ○ : 打継ぐことができる
    △ : カットして新しい面を出し、専用プライマーを使用すれば打継ぐことができる。
    × : 打継ぐことができない。
    ※ : シーリング材は製造業者に確認が必要です。
  2. 打継ぎ表は以下の条件を前提としている。

    1. 先打ちシーリング材は十分に硬化していること。
    2. 打継ぎ面は溶剤洗浄を行うこと、又はカットして新しい面を出すこと。
    3. 後打ちシーリング材のプライマー打継ぎ面に塗布すること。
    4. 打継ぎ例を図:1、図:2に示す。
  3. 打継ぎ表の適用にあたっては次のような留意が必要である。

    1. この打継ぎ表は、目地設計・施工計画・施工管理などに参考とする目安であり、実際の施工にあたっては、取り合うシーリング材製造業者の技術資料や指示に基づいて実施必要がある。特にポリイソブチレン系は、試験を実施するか否かシーリング業者に確認する。
    2. 工場施工の打継ぎは、工場施工後の養生時間などの条件によって接着性が大幅に異なる場合があるので、施工直前に再チェックを行う必要がある。
異種シーリング材の打継ぎの目安 概略図

シーリング材の使用上の留意事項

※JASS 8 防水工事より抜粋
項目シーリング材
留意事項
湿気硬化1成分形 シリコーン系 高モジュラス
  • 表面に仕上材が付着しにくい。
  • 脱酢酸型は鉄などの金属を腐食するため網入りガラスなどには不適である。脱オキシム形も銅および銅合金には注意が必要である。
  • 目地が深い場合、硬化に日数を要する。
  • 表面硬化が早いので、早めにへら仕上げを行う。
低モジュラス
  • 目地周辺部を汚染することがあるので汚染防止処理が必要である。
  • 表面に仕上材が付着しにくい。
  • アルミニウム笠木目地など硬化過程でムーブメントが大きい場合、変形などの影響を受けやすい。
  • 表面にほこりが付着しやすい。
変成
シリコーン系
  • 低モジュラス形は、表面にほこりが付着しやすい。
  • 表面硬化が早いので、早めにへら仕上げを行う。
ポリサル
ファイド系
  • ムーブメントの大きい金属カーテンウォールの目地、金属笠木目地には好ましくない。
  • 表面の仕上材や塗料を軟化・変色させることがある。表面に塗装する場合には、汚染防止処理を行う必要がある。
  • 目地が深い場合、硬化に日数を要する。
ポリウレタン系
  • ガラス廻り目地を用途としていない。
  • 硬化後タックが残るものがあり、ほこりの付着に注意する。
  • 施工時の気温、湿度が高い場合、発泡のおそれがある。
エマルション
乾燥硬化
1成分形
アクリル系
  • 未硬化の状態では水に弱く、雨に流される欠点があり、また、常時水に浸される箇所には使用することができない。
  • 一般に0°C以下では施工することができない。
  • 乾燥硬化に伴う体積収縮を考慮して仕上げる。
反応硬化2成分形 シリコーン系
  • 目地周辺部を汚染することがあるので、汚染防止処理が必要である。
  • 表面に仕上材が付着しにくい。
  • 表面にほこりが付着しやすい。
  • クレーター現象を生ずることがある。
変成
シリコーン系
  • プライマー依存性が大きいので、プライマー処理を十分に行う必要がある。
  • ガラス回り目地を用途としていない。
  • 大理石を用途としていない。
  • 薄層未硬化現象を生じることがある。
  • 表面に多少タックが残ることがある。
  • 合成樹脂やフタル酸樹脂等の酸化乾燥型塗料を表面に塗布すると、乾燥しないことがある。
ポリサル
ファイド系
  • ムーブメントの大きい金属カーテンウォールの目地、金属製笠木目地には好ましくない。
  • 表面の仕上材や塗料を軟化・変色させることがある。表面に塗布する場合には、汚染防止処理を行う必要がある。
  • 施工時の環境温度による可使時間、硬化時間の変化が大きい。
アクリル
ウレタン系
  • ガラス回り目地を用途としていない。
  • 表面にタックが残ることがある。
  • 施工時の気温、湿度が高い場合、発泡のおそれがある。
ポリウレタン系
  • 耐熱性・耐候性にやや劣るため、金属パネルや金属製笠木などには適していない。
  • 表面にタックが残り、汚れやすい。
  • 紫外線や硫黄系ガスにより表面が変色することがある。また、耐候性を補うため、表面には塗装するのが望ましい。
  • 合成樹脂やフタル酸樹脂系の酸化乾燥型塗料を表面に塗布すると、乾燥しないことがある。
  • 施工時の気温、湿度が高い場合、発泡のおそれがある。

シーリング材に関する汚染現象と対策

※JASS 8 防水工事より抜粋
現 象 シーリング材 対 策 等
SR MS PS UA PU
シーリング材表面 汚れ ほこりなどの付着 C B A C C 表面塗装(MS,UA,PU)〈ある程度は不可避〉
かびなどの付着 B B B B B 防かび剤入り(SR,MS)を使用〈外装での発生は少〉
変色・退色 紫外線による変色・退色 A A B B C 表面塗装(MS,UA,PU)〈ある程度は不可避〉
硫黄系ガスによる変色 A A B C C 表面塗装(UA,PU)〈温泉地は注意〉
ゴムの成分移行による軟化・変色・接着破壊など(ガラスまわり目地) C C ゴムと絶縁、事前選定
シーリング材表面の塗装における仕上塗材の軟化・変色 仕上塗材の種類により異なる 事前検討
周辺部 石材・タイルなどのはっ水汚染(シーリング材の成分移行) C A A A A SR以外の材料を使用
石材へのしみの発生 石材の種類・産地
などにより異なる
事前検討
A : 影響なし B : 影響少 C : 影響あり

目地幅の設計

温度変化により部材が伸縮し、目地幅が変動します。このムーブメントは長期にわたって連続して起こるため、目地の設計に際しては十分な考慮が必要です。

ムーブメントによる目地の分類

目地は、シーリング材に対するムーブメントの影響の程度により、ワーキングジョイントとノンワーキングジョイントに分類される。

ワーキングジョイント

ワーキングジョイントの場合は、接着性、ムーブメント追従性、耐久性、施工性を考慮した目地設計を行い、適正な目地幅、目地深さを決定する。

カーテンウォール部材取付時の目地幅の許容差Weの標準値(mm)

※JASS 14から抜粋
項 目 金属製
カーテンウォール
アルミニウム
合金鋳物製
カーテンウォール
プレキャスト
コンクリート
カーテンウォール
目地幅の許容差 ±3 ±5 ±5

設計目地幅の算定(mm)

1)目地幅の算定式

ワーキングジョイントでは設計目地幅が(下)式を満足しなければならない。

目地幅の算定式
W
設計目地幅(mm)
δ
ムーブメント(mm)
ε
シーリング材の設計伸縮率・設計せん断率(%)
We
目地幅の施工誤差(mm)

2)温度ムーブメントの算定

部材の熱膨張・収縮に起因する温度ムーブメントは、以下の算定式により求める。

  1. 突付け目地

    δt = αlΔT (1 - Kt)
    δt
    温度ムーブメント(mm)
    α
    部材の線膨張係数(/°C)
    l
    部材の設計長さ(mm)
    ΔT
    部材の実効温度差(°C)
    Kt
    温度ムーブメントの低減率
  2. ガラスまわり目地

    • 高さ方向

      温度ムーブメントの算定 高さ方向 計算式
    • 幅方向

      温度ムーブメントの算定 幅方向 計算式
    • コーナー部

      温度ムーブメントの算定 コーナー部 計算式
    δt
    温度ムーブメント(mm)
    δh, δw
    高さ方向、幅方向のムーブメント(mm)
    αs, αg
    サッシおよびガラス部材の線膨張係数(/°C)
    h, w
    ガラスの高さ・幅(mm)
    ΔTs, ΔTg
    サッシおよびガラス部材の実効温度差(°C)

シーリング材の設計伸縮率・設計せん断変形率εの標準値(%)

※JASS 8 防水工事より抜粋
シーリング材の種類 伸 縮 せん(剪)断 備考※3
(耐久性の区分)
主成分・硬化機構 記号 M1※1 M2※2 M1※1 M2※2
2成分形シリコーン系 SR-2 20 30 30 60 10030
1成分形シリコーン系[低モジュラス] SR-1 LM 15 30 30 60 10030、9030
1成分形シリコーン系[高モジュラス] SR-1 HM (10) (15) (20) (30) 9030G
2成分形変成シリコーン系 MS-2 20 30 30 60 9030
1成分形変成シリコーン系 MS-1 10 15 15 30 9030、8020
2成分形ポリサルファイド系 PS-2 15 30 30 60 9030
10 20 20 40 8020
1成分形ポリサルファイド系 PS-1 7 10 10 20 8020
2成分形アクリルウレタン系 UA-2 10 20 20 40 9030
2成分形ポリウレタン系 PU-2 10 20 20 40 8020
1成分形ポリウレタン系 PU-1 10 20 20 40 9030、8020
1成分形アクリル系 AC-1 7 10 10 20 7020
備 考
  1. 温度ムーブメントの場合
  2. 風・地震による層間変位ムーブメントの場合
  3. JIS A 5758による耐久性区分

( ) : ガラス廻り目地の場合

部材の線膨張係数α(×10-6/°C)

形 状 種 類 線膨張係数
形材 アルミニウム 23
パネル 金属 アルミニウム板 23
アルミニウム鋳物 23
ステンレス(オーステナイト系) 17
10
コンクリート 10
ALC 7
ガラス 9

部材の実効温度差ΔT(°C)

※JASS 8 防水工事より抜粋
形状 構成部材 外壁 笠木
種類 表面の色調※4
形材 アルミニウム 明色 55 65
暗色 70 80
パネル 金属 アルミニウム板 明色 55 65
暗色 70 80
アルミニウム鋳物 明色 50 55
暗色 65 70
ステンレス
(オーステナイト系)
明色 55 65
暗色 70 80
明色 55 65
暗色 70 80
コンクリート 明色 35 40
暗色 40 45
ALC 明色 40
暗色 45
ガラス※1 一般※2 45
特殊※3 55
  1. 日射吸収率40~50%を一般と特殊の区分の目安としている
  2. 透明板ガラス、熱線反射ガラスのクリアタイプ、Low-E複層ガラス
  3. 熱線吸収板ガラス、高遮へい性能熱線反射ガラス、熱線反射ガラスの熱線吸収タイプのように、日射吸収率の比較的大きい板ガラス
  4. 明色ー金属素地光沢を有するもの、および明度が比較的白色に近いもの
    暗色ー明度が比較的黒色に近いもの

温度ムーブメントの低減率Kt

※JASS 8 防水工事より抜粋
形 状 構成部材の種類 外壁 笠木
形材 アルミニウム 0.2 0.1
パネル 金属 アルミニウム板 0.3 0.1
アルミニウム鋳物 0.2 0.1
ステンレス(オーステナイト系) 0.3 0.1
0.3 0.1
コンクリート 0.1 0.1
ALC 0.1
ガラス 0

設計目地幅の許容範囲

ムーブメントだけを考えれば広いほど安全側にあります。しかし広すぎるとシーリング材の充てん、仕上がりが困難になるばかりでなく、施工後にシーリング材が垂れたりして問題となり、意匠上、経済上も好ましくありません。逆に狭すぎると、シーリング材を確実に充てんすることができず耐久性上問題となります。設計目地幅の許容範囲は、その種類、条件により多少差があるものの、右表に示す値が標準値と考えられます。

目地幅の許容範囲

設計目地幅の許容範囲を示す。ワーキングジョイントでは、目地幅がこの範囲に納まるように設定する。

設計目地幅Wの許容範囲(mm)

シーリング材の種類 目地幅の許容範囲
主成分 記号 最大値 最小値
シリコーン系 SR 40(25) 10(5)
変成シリコーン系 MS 40 10
ポリサルファイド系 PS 40(25) 10(5)
アクリルウレタン系 UA 40 10
ポリウレタン系 PU 40 10
アクリル系 AC 20 10
( )内の数値はガラス回りの場合の寸法を示す。

その他

  • 3面接着の防止
  • 接着面積を確保するための対策
  • 排水機構の設置

など配慮する必要があります。

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