防火設備のご案内
防火性とは
防火性とは建築物の火災に対する安全性のレベルを表す性能です。
建築基準法、建築基準法施行令、関係告示等で詳細に規制されています。
なかでも、耐火建築物、準耐火建築物や防火地域または準防火地域にある建築物の外壁で、延焼のおそれのある部分の開口部については、炎を遮り延焼を防止するために、「防火設備」(防火戸)の使用が義務づけられています。
防火設備について
防火設備の種類
防火設備には、使用の目的と場所によって次の種類があります。
特定防火設備
火災の拡大を防止するものであり、防火区画の開口部、外壁の開口部、避難階段の出入口部分などに用いられています。
防火設備(防火戸)
主として、開口部の延焼防止を目的として、防火区画の一部や外壁の開口部などに用いられています。
防火設備の規定
防火設備は、政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。
防火設備の技術的基準
防火設備は、建築基準法および建築基準法施行令により、その性能についての技術的基準が規定されています。
種類 | 防火設備 | ||
---|---|---|---|
特定防火設備 | |||
大臣認定コード | EA | EB | EC |
関連告示(例示仕様) | 建告第1369号 | 建告第1360号 | 建告第1366号 |
要件 | 加熱面以外の面に火炎を出さない | 加熱面以外の面に火炎を出さない | 加熱面以外の面に火炎を出さない |
遮炎時間 | 1時間 | 20分間 | 20分間 |
火災の種類 | 建築物の屋内または周囲で発生する通常の火災 | 建築物の屋内または周囲で発生する通常の火災 | 建築物の周囲で発生する通常の火災 |
性能 | 遮炎性能 | 遮炎性能 | 準遮炎性能 |
主な設置場所 | 防火区画 | 耐火建築物または準耐火建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分 | 防火地域または準防火地域内の建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分 |
関係法令 | 令第112条第1項 | 法第2条第九号二/口 令第109条の2 |
法第61条 令第136条の2 |
※「建築基準法」は「法」と、「建築基準法施行令」は「令」と略します。
防火設備の認定
防火設備についての国土交通大臣の認定を受けるためには、指定性能評価機関※において防耐火試験を実施し、事前評価を受けることが必要です。
※指定性能評価機関とは、国土交通大臣認定の事前評価を実施する機関で、原則として試験と評価の両方を実施します。
防火性に関する法規
防火地域と準防火地域
都市計画法第9条に、市街地における火災の危険を防除するため、防火地域と準防火地域が定められています。
市街地の火災を防除するために各市町村で下記の種類の地域が定められています。
(凡例)
- A防火地域
- 町の中心部、主として商業地域に指定されることが多い。
- B準防火地域
- 防火地域をとりまき、比較的防火上重要な地域が指定されます。
- C法22条指定区域
- 都市計画区域内外にわたり指定されている準防火地域を囲むように指定されています。
防火地域、準防火地域および指定区域における建築物の基準が下表のように定められています。
防火地域 (法第61条) |
防火地域内においては、階数が3以上であり、または延べ面積が100m2を超える建築物は耐火建築物相当(※1)とし、その他の建築物は原則として耐火建築物相当(※1)または準耐火建築物相当(※1)としなければなりません。 |
---|---|
準防火地域 (法第61条) |
準防火地域内においては、地階を除く階数が4以上である建築物または延べ面積が1,500m2を超える建築物は耐火建築物相当(※1)とし、延べ面積が500m2を超え1,500m2以下の建築物は耐火建築物相当(※1)または準耐火建築物相当(※1)としなければなりません。また、地階を除く階数が3である建築物は耐火建築物相当(※1)、準耐火建築物相当(※1)または外壁の開口部の構造および面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物としなければなりません。 |
法22条指定区域 (法第22・23条) |
防火地域または準防火地域以外の市街地で、特定行政庁が指定する区域において、屋根を準不燃性能(※2)、外壁で延焼のおそれのある部分を準防火性能のある構造とするなどの規制があります。 |
その他の区域 〈大規模木造建築物等〉 (法第25・26条) |
延べ面積が1,000m2を超える木造建築物等については、外壁や軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、屋根を準不燃性能(※2)のある構造とするほか、防火壁によって床面積1,000m2ごとに区画するなどの規制があります。 |
建築物が異なる地域にまたがる場合 (法第67条) |
建築物が防火地域または準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域をまたがる場合は、その全部についてそれぞれ防火地域または準防火地域の規定が適用されます。また、防火地域と準防火地域をまたがる場合は、防火地域の規定が適用されます。原則として、厳しい方の地域の規制を受けます。 |
※1
ここでいう『耐火建築物相当』および『準耐火建築物相当』とは延焼防止の観点から各々、耐火建築物または準耐火建築物と同等の延焼防止性能を持つ建築物で、延焼のおそれのある外壁開口部は防火設備としたものです。
※2
ここでいう『準不燃性能』とは、「通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能(法第22条)」のことで、その技術的基準は令第109条の5に定められています。
防火地域内または準防火地域内の規定は原則として先の表のとおりですが、建築物の規模によって以下のように定められています。
1. 防火地域内の建築物(令第136条の2)
2. 準防火地域内の建築物(令第136条の2)
※木造建築物等の場合は、外壁・軒裏を防火構造とし、かつ、外壁構造部に片面防火設備を設けた建築物とする。それ以外の場合は、外壁構造部に片面防火設備を設けた建築物とする。
耐火建築物と準耐火建築物
建築基準法で、耐火および準耐火建築物はそれぞれ以下のように定められています。
耐火建築物
主要構造部を耐火構造とした建築物で、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には、政令で定める遮炎性能を有する防火設備を設けたものをいう。(法第2条第九号の二)
準耐火建築物
耐火建築物以外の建築物で、主要構造部を準耐火構造とするか、または準耐火構造と同等の準耐火性能を有するとして政令で定める技術的基準に適合するものとし、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分には、政令で定める遮炎性能を有する防火設備を設けたものをいう。(法第2条第九号の三)
防火設備の必要な外壁の開口部
外壁の延焼のおそれのある部分で、防火設備を使用しなければならない開口部は下記のとおりです。
対象建築物 | 対象部位 | 防火設備の種類 | 法令 |
---|---|---|---|
耐火建築物 | 外壁の開口部で 延焼のおそれのある部分 |
遮炎性能を有する防火設備 | 法第2条第九号の二 令第109条の2 |
準耐火建築物 | 法第2条第九号の二 令第109条の2 |
||
防火地域内または 準防火地域内の建築物 |
準遮炎性能を有する防火設備 | 法第61条 令第136条の2 |
延焼のおそれのある部分
イ. 隣地境界線、道路中心線から1階で3m以下、2階以上では5m以下の距離にある建築物の部分
ロ. 同一敷地内に2以上の建築物(延べ面積の合計が500m2以内の建築物では、1棟とみなされる)があるときは相互の外壁間の中心から、1階で3m以下、2階以上では5m以下の距離にある建築物の部分