断熱等性能等級

主に住宅の省エネの基準となる、”断熱等性能等級とはどんな位置づけの基準・制度なのか”といった基本的な部分から、具体的な基準値までご紹介します。

断熱等性能等級とは

断熱等性能等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以降、品確法)の中にある、住宅性能表示制度に定められた項目の一つです。

住宅の品質確保の促進等に関する法律

住宅性能表示制度

温熱環境・エネルギー消費量に関すること

断熱等性能等級

外皮(外壁、窓など)の断熱性能、冷房期に日射を遮蔽する対策、結露の発生を抑制するための対策など、住宅外皮の断熱性能について評価する等級となっています。

●近年の断熱等性能等級の変化点

2022年に23年ぶりに新しい断熱等性能等級の等級が追加されました。

背景として2050年の脱炭素社会に向けて、住宅のあり方を根本から見直すべく国の政策として動き出したことがあります。

省エネ上位等級が新設に続き、2025年までに省エネ基準適合の義務化も決定しています。

2050年脱炭素社会の実現に向けて国を挙げた住宅高性能化への取り組みが急激に進みつつあります。

参照:https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/cv.do?c=11606220000&pg=8&v=YKKAPDC1& pro

●断熱等性能等級の用途について

断熱等性能等級の等級は住宅性能表示制度における評価という側面以外にも、他の基準の指標として扱われる側面があります。

等級4は省エネ基準の断熱性能水準、等級5は長期優良住宅・ZEHの断熱水準のように、他の基準と合うように構成されています。

参照:https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/cv.do?c=11606220000&pg=8&v=YKKAPDC1&d=pro

断熱等性能等級7:
HEAT20・G3基準相当 2022年度 新設
断熱等性能等級6:
HEAT20・G2基準相当 2022年度 新設
断熱等性能等級5:
2030年基準 相当(ZEH・長期優良住宅基準) 2022年度 新設
断熱等性能等級4:
平成25年基準 相当 2025年 義務化予定
断熱等性能等級3:
平成4年基準 相当
断熱等性能等級2:
昭和55年基準 相当
断熱等性能等級1:
その他

断熱等性能等級の性能値について

断熱等性能等級は等級と地域区分によって、求められる断熱性能が決まっています。

以下がその基準の一覧になります。

表に記載の値が、各項目ごとに定められた外皮平均熱貫流率(Ua値(W/㎡・K))の数値です。

値が小さいほど熱伝導率が低く、断熱性能が高いことを示しています。

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●これからは断熱等性能等級6をスタンダードに

政府と国土交通省は、国民の誰もが健康で快適に暮らせる未来を見据え、2050年の望ましい住宅のあり方から逆算して目標を設定していく取り組みを始めています。

2022年、実に23年ぶりに断熱等性能等級4を超える上位等級が新設されました。

ZEHレベルの等級5だけではなく、その上の等級6、また世界的にも最上位水準といえる等級7まで新設されました。

新しい断熱等性能等級の効果を見てみましょう。

・室温への影響

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まず室温への影響です。

室内の様子をサーモグラフィー(赤外線カメラ)で見れば効果は一目瞭然で、旧来の等級4の家が底冷えするのに対し、等級6以上なら足元から暖かく快適、健康的に過ごせます。

エネルギー効率の観点でも効果絶大です。

等級4の家は暖房熱が逃げだしやすく、夜間に暖房を切ると明け方の最低室温は8℃にまで落ち込みます。

これが等級6になると、暖房に必要なエネルギーは半分以下で済むようになり、明け方も極端な寒さを感じにくくなります。

等級7では部分間歇暖房でも、明け方の室温が15℃を下回る確率が極めて少なくなります。

断熱等性能等級を上げることによるメリット

●高断熱化で体感温度が変わる

温度計で同じ室温を指し示していたとしても、壁や床などの表面温度によって体感温度が変わってきます。

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こちらの図では、室温が同じ20℃であったとしても、壁や床などからの輻射熱の違いによって体感の温度が19℃と15℃と大きく異なります。

樹脂窓を中心として、断熱等性能等級を向上させることで、必要以上に冷暖房設備を使うことなく快適に暮らしやすくなります。

【算出条件】解析No:00003●使用ソフト:AE-Sim/Heat(建築の温熱環境シミュレーションプログラム)/(株)建築環境ソリューションズ●気象データ:「拡張アメダス気象データ」2000年版標準年/(一社)日本建築学会●計算地点:京都●住宅モデル:2階建て/延床面積120.08㎡/開口部面積32.2㎡(4~8地域)「平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ住宅」標準住戸のプラン●住宅の仕様:断熱性の低い家/躯体無断熱 開口部アルミサッシ(単板ガラス)、断熱性の高い家/躯体HEAT20G2基準適合レベル相当 開口部APW330(Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)ブルー) /ガス入/樹脂スペーサー※YKK AP調べ

●ヒートショックの予防に効果的

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●冬季における死亡・疾患リスクを減少できる可能性がある

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冬季における死亡増加率と高断熱住宅の普及率は相関があると言われています。

北海道などの厳寒地域は断熱性が高い住宅が普及しており、他の季節に比べて死亡率の増加が低い傾向にあります。

●都道府県別疾患リスク

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具体的に都道府県別に見ていくと、高断熱住宅の普及率が高い寒い地域ほど、血管系や呼吸器系の疾患リスクが少なく、普及率の低い温暖な地域ほどリスクが高まる傾向にあります。

不慮の溺死事故は、主に住宅の断熱性能が低いことによる低い室温と、浴槽での高温の入浴による温度差が引き起こす心筋梗塞・脳梗塞などが原因とも言われています。

この温度差による不慮の溺死事故は、一般的に「ヒートショック」と呼ばれています。

ヒートショックを起こしにくくするためには、住宅の断熱性能を上げて洗面脱衣所や浴室内が寒くなりにくい環境をつくることです。

寒い場所から暖かいお湯に浸かった時の、血圧の大きな変化が原因とされているため、温度差を縮小すると発生をできりだけ抑制できるとされています。

このように、ヒートショックを起こしにくくする環境を断熱性能の向上によってつくることができます。

●冷暖房費を抑えることができる

断熱等性能等級が上がることで、家の保温性がアップします。

同時に冷暖房が効きやすくなるため、省エネな冷暖房で運用することができるため、結果的に冷暖房費用の抑制につながります。

各等級ごとのおすすめの開口部仕様について

高いレベルの断熱性能等級を目指していく上で、開口部の断熱性能を上げることは欠かせません。

断熱等性能等級6以上を実現するのに必要不可欠となるのが、窓の高性能化です。

これまで多くの日本の家を寒くて電気代の高い低断熱住宅にしてきた最大の原因は、家の中で熱の出入りが一番大きい「窓」、すなわち広く普及しているアルミサッシなどの低断熱の窓にありました。

これはつまり「窓」の高断熱化こそが、日本の家を暖かく電気代の心配のない高断熱住宅に変えていくカギになるということでもあります。

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