省エネ性能向上のための「窓の性能表示制度」
窓には眺望、採光といった機能のほかに、断熱、日射の取得・遮蔽といった住宅の省エネルギー性能に深く関係する機能があります。
適切な窓を選択することは、光熱費の削減や、居住快適性の向上につながります。
このため、窓の性能を正しく確認し、適切な窓を選択できるよう性能表示ラベルが見直されました。
窓の性能表示制度は、『エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律』に基づく国の制度です。
窓の性能表示制度とは
住宅の省エネルギー性能を高める上で重要な窓の「①断熱性能」と「②日射熱取得率」について表示する仕組みです。
窓の性能表示制度は2011年に施行され、2023年に新制度としてスタートしました。
YKK APでは 「①断熱性能」のみ表示いたします。(「②日射熱取得率」の表示はありません)
❶断熱性能の表示
窓から熱が出入りすることを抑え、どれだけ暖かさや涼しさを保てるのかを示す指標です。
6つの★マークで表示し、色がついている★マークの数が多いほど断熱性能が高いことを表します。
窓の断熱性能を高めることのメリット
屋根や壁に比べ、窓やドアからは室内の熱が外に逃げやすいため、断熱性能を高めることがとても重要になります。
また、断熱性能は冷房の効果を高めることにも寄与します。
①少ないエネルギーで冬期の室内環境を快適にし、暖房費を低減します。
住宅の断熱等級※1別の暖房費の比較(等級4を100とした場合)
6地域、木造2階建て約120㎡エアコン暖房(居室のみの)場合
(注)国立研究開発法人建築研究所のエネルギー消費性能計算プログラムを用いて、各等級の年間暖房エネルギー消費量の計算を行いました。
②住宅内の温度差を低減し、ヒートショックによる心臓や血管への負担を小さくするなど、健康で安全な生活に寄与します。※2
③冬期の窓面の結露を抑制しカビなどによる室内空気の汚染を低減します。
窓の断熱性能表示マーク
断熱性能は6つの★マークで表示し、色がついている★マークの数が多いほど断熱性能も高くなります。
地域によっても異なりますが、★が3つ以上の窓を用いることでZEH※3を達成できる可能性があります。
窓の断熱性能はサッシとガラスの組合せで決まります。
(注)熱貫流率:窓や壁などの両側の温度差が1℃のとき、1㎡、単位時間当たりに伝わる熱量で、この値が小さいほど熱が伝わりにくくなります。
住宅性能表示制度における等級(断熱等性能等級)で表します。数字が大きいほど断熱性能は高くなります
断熱性能が高く暖かい住宅は、住まい手の健康づくりにつながるとの報告があります
「Net Zero Energy House」の略称で、年間の一次エネルギー消費量ゼロを目指した住宅です
低放射複層ガラスともいい、特殊金属膜を表面にコーティングしたガラスを屋外側または室内側に用いた複層ガラス
4つ星相当の窓の例(左:樹脂製サッシ、右:アルミ樹脂複合製サッシ)
❷日射熱取得率の表示
冬期に太陽熱を室内に取り入れて暖かくするか、夏期に太陽熱を遮り室内を涼やかに保つかを示す指標です。
3つのマークで表示します。
窓による日射熱の取得と遮蔽のメリット
窓には日射熱を取り入れる役割(取得)と、遮る役割(遮蔽)の両面があり、それぞれに適した製品があります。季節に応じたメリットと注意点に配慮して、窓を選ぶことが、快適性や省エネ性を高める上で大切です。
- ①日射熱の取得に適した窓(日射取得型の窓)は、冬の室内を暖めるのに効果的です。
ただし、夏にも室温が上昇しますので、庇や簾・ブラインドなどを設ける工夫が必要です。 - ②日射熱の遮蔽に適した窓(日射遮蔽型の窓)は、夏の日射を遮り室内の涼やかさを保つのに効果的です。ただし、冬の日射も遮りますので、とくに寒い地域での選択には注意が必要です。
次の点にも留意してください(窓による日射熱の取得・遮蔽に影響する要素)
- 住宅のデザインや周辺の建物の状況…庇がある住宅、周辺が建て込んでいる住宅では、日射を取り入れにくいことがあります。
- 窓の大きさ…日射熱を多く取り入れたいときは窓を大きくすることも有効です。
- 住宅の庭木…落葉樹などの庭木を植えることも季節に応じた効果があります。
窓の日射熱取得率表示マーク
日射熱取得率は3つのマークで表示し、窓の日射の取り入れやすさの程度で区分されます。
窓の日射熱取得率はサッシとガラスの組合せで決まります。
(注)日射熱取得率:日射熱が室内側に入る割合で、小さいほど日射を遮ります。
ブラインドなどを設けた場合の日射熱取得率
窓にブラインドなどを設けることで日射熱取得率を下げる効果があります。
他にも庇や簾も有効です。
(注)樹脂製サッシの場合、表の値より日射熱取得率は数%小さくなります。
「窓の選択フロー」については(一社)日本サッシ協会、他発行の「省エネ性能向上のための窓の性能表示制度」パンフレットをご参照ください。