1.秋は台風が多い季節
秋は気持ちの良い晴天が続いていたかと思うと、台風が発生して大きく天候が乱れることも少なくありません。台風は、熱帯の海上で生まれた“熱帯低気圧”のうち、最大風速(10分間平均)がおよそ17.2m/s以上の強い勢力のものを指します。一年中発生していますが、日本に来ることが増えるのは夏から秋にかけて。夏の台風は比較的ゆっくり進むのに対し、秋の台風は偏西風の影響で日本に近づくと進むスピードが速くなります。
一昔前までは「台風が来る」という天気予報が流れると、強い風に備えて早めに雨戸を閉めたり、むき出しのガラス窓に雨戸代わりに板を打ち付けたりといった光景が見られました。雨戸は強い風からガラスを守ってくれますが、マンションなどの集合住宅にはほとんど雨戸がついていません。一戸建てでも雨戸やシャッターを付けない住宅が増えています。
無防備に見える窓ですが、いったいどの程度の強風になると、窓ガラスが割れる可能性が高くなるのでしょうか。
2.窓が割れる原因はものがぶつかるから
窓ガラスはある程度の風には耐えられるようになっているので、風だけで割れる可能性は高くありません。むしろガラスが割れる原因の多くは、風で飛ばされたものがぶつかるためです。
細い木の枝が折れ、看板が落下、屋根瓦や屋根葺き材が飛ぶといった「ものが飛散する被害」が出始めるのは、平均風速20~25m/s(瞬間風速30m/s)以上。さらに平均風速が35m/s(瞬間風速50m/s)を超える猛烈な風になると、外装材が広い範囲で破れて飛散するなど、きわめて危険な状態になります(下表参照)。
気象庁ホームページ参照
(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html)
つまり、ものが飛び始めるのが、風速20m/s以上ということ。台風の中心付近の最大風速は17.2m/s以上という非常に強い風が吹きますから、「台風が来ている状況下ではものが飛ぶ可能性がある」と用心したほうがいいでしょう。
出典:気象庁ホームページ「図・風の強さと吹き方」(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html)
3.一番の対策は、外にものを置かないこと
ガラスが割れてしまうと、室内は雨で濡れ、吹き込んでくる強風でものが飛び散るなど、大変なことに。雨風の中では、ガラスがなくなった部分を塞ぐ応急処置もままなりません。台風にそなえて、窓が割れないようにする対策をしておきましょう。
窓対策の基本は、窓ガラスを割る大きな原因になっている「ものの飛散」を防ぐこと。庭やバルコニーをあらためて眺めてみると、ゴミ箱、物干し竿、傘、庭ぼうきやちり取り、植木鉢、ガーデンテーブルやチェア、自転車など、強い風で飛びそうなものがたくさん置いてあるのではないでしょうか。濡れたぞうきんや洗濯物、小石で割れることもあります。
台風が来そうなときには外に極力ものを置かないようにし、ほうきやゴミ箱はもちろん、物干し竿なども物干し台から降ろし、できれば室内へ入れておきましょう。大きい、重いなどの理由で中に入れられないものは、ロープなどで固定します。物干し台は倒しておけば安心です。
4.強化ガラスやシャッターで強風をブロック
風の強い地域や、立地上、風の被害を受けやすい住宅はとくに、手厚い対策を考えておく必要があります。窓のガラスを合わせガラスに変えたり、雨戸やシャッターを後付けすることも可能です。窓を外側からガードする開閉式のもの、リモコン電動や内部操作が可能なシャッターなど、様々なタイプの商品が次々登場しているので、「窓のリフォーム」を検討してみるのもいいでしょう。
万が一ガラスが割れてしまった場合、破片が飛び散らないよう、ガラス飛散防止フィルムを貼るのも効果的。空き巣の侵入を防ぐ効果も期待でき、一石二鳥です。
台風は毎年やってきて、日本各地に甚大な被害をもたらしています。住まいや田畑、橋や道路といったモノだけでなく、人に被害が及ぶことも少なくありません。大ごとにならないように、ふだんからしっかり備えておくことが大事です。