

1.窓は冷気の入り口
冬本番に向かって、朝晩だけでなく日中の冷え込みも厳しくなる季節。せめて家の中では暖かく快適に過ごしたいものですね。しかし室内にいても底冷えがする、冷たい空気が入り込んでくる、暖房をつけているのになかなか暖まらないなどと感じたことはありませんか。
室温と同じくらい重要なのが、周囲の壁や天井、窓などの温度。現在の窓は気密性の高いサッシが大半を占めていますが、壁ほどの厚みはなく、断熱材も入っていません。
そのため、窓で冷やされた空気は下に流れ、床へと広がる「コールドドラフト」という現象が起こります。窓面いっぱいの幅から下降するコールドドラフトによって、天井付近は暑いのに足もとが寒いという温度差が生まれ、冬場には5度以上になることも。冷気に加え、こうした温度差も不快な空間がつくられる一因になっているのです。
また窓は冷気の入り口であると同時に、室内の暖かい空気が逃げ出す出口でもあります。冬場は50%もの熱が窓から出入りしていると言われています。

※上記数値は、YKK AP算出です。
窓からの熱の流入出比率の算出条件 【解析No:00033】(2021.7.1更新)
●使用ソフト:AE-Sim/Heat(建築の温熱環境シミュレーションプログラム)/(株)建築環境ソリューションズ ●気象データ:「拡張アメダス気象データ」2010年版 標準年/(一社)日本建築学会 ●住宅モデル:2階建て/延床面積 120.08㎡/開口部面積 32.2㎡(4~8地域)「平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ住宅」標準住戸のプラン ●躯体:平成28年省エネルギー基準レベル相当 ●窓種:アルミ(複層ガラスA8未満) ●環境条件: 冬:外気温:2.6℃、室温:20℃ 2月14日 5〜6時(日平均外気温最低日)、東京

2.冷気対策は、カーテンの見直しから

底冷えする室内を暖めようと暖房をガンガン強めても、温められた空気は上に行くばかりで、快適な空間を作ることはできません。冷気の発生源の窓対策をすることが大事です。
まず見直してほしいのがカーテン。カーテンは、窓から発生するコールドドラフトをシャットアウトしてくれる強い味方ですが、真冬を迎えようとしているのに薄手の夏向けカーテンのままだったり、カーテンの丈が短く床との間に隙間があると、冷気がそこを通って床に広がってしまいます。
冬用の厚手で、床に着くくらいの丈があるカーテンに付け替えましょう。色はブルーなどの寒色は避け、オレンジや赤などの暖色系にすると視覚的にも暖かさを感じることができます。
窓にシャッターや雨戸がついている場合は、太陽光が差し込む日中はガラス越しに明るさと暖かさを取り込むために開けておき、陽が落ちたら早めに閉めるようにしてください。雨戸とカーテンで冷気をダブルブロックすれば、より暖かく過ごすことができます。

3.窓の下にヒーターを設置

窓からの冷気を入ってこないようにする対策をしたうえで、窓用のヒーターを設置するのも一手。窓下とカーテンの間に置くもので、窓の下から冷気を効率よく温めて室内に循環させることによって、部屋全体を心地よく温めます。
このように、部屋の中の空気に流れを作り、寒暖差を少なくすることで、暖房の温度を過剰に上げなくても心地よい適正な室温を保つことができます。これは夏場の冷房にも同じことが言えます。冷暖房を効率化することによって、省エネにもつながるのです。
さらに窓周辺を温めるために室温との極端な温度差が解消し、窓ガラスに結露を発生しにくくする効果も期待できます。
省エネタイプやデザイン性の高い製品が市販されているので、第2の暖房として考えてみてはいかがでしょう。

4.窓のリフォームでしっかり暖かく

窓カーテンは手軽な冷気対策ですが、窓との温度差で結露が発生しやすいというデメリットも。「よりしっかり対策をしたい」という場合は、窓のリフォームを検討してみましょう。
断熱を考えたリフォームには、次の3つの方法があります。
北海道や東北地方など寒冷地の住宅で昔から一般的に用いられる二重窓は、窓で空気の層を作ることで断熱効果を高めた窓。最近では、復層ガラスの樹脂窓が主流になっています。冬だけでなく、夏場の冷房効率のアップにもつながります。さらに結露防止や防音、防犯など、さまざまなメリットがあります。
かつて二重窓にするにはサッシの増設などの大掛かりな工事が必要でしたが、簡単に取り付けられる製品が登場し、手軽にリフォームできるようになりました。
窓の冷気を上手に遮断することで、暖房効率も高まり、電気代が節約できます。今年の冬は窓の冷気対策にチャレンジしてみてください。

