
驚くことなかれ、鍵と錠前が誕生したのは古代エジプト文明でした。最古とされるエジプト錠は、紀元前2000年頃あるいは紀元前4000年頃のものなど諸説ありますが、そんな大昔からすでに現代の錠前に通じる仕組みを持っていたようです。
さらに古代ローマ帝国時代には、鍵を差し込んで回す金属製のものが作られており、これは現代に続く「ウォード錠」のルーツと言えるものでした。
片やドアのほうはいつ誕生したかというと、残念ながら正確な発祥についてはわかっていません。
たとえばウクライナにある世界最古の住居は約15,000年前にマンモスの骨で作られたものですが、そこに扉があったという記録はなし。
ただし、鍵と同様に古代文明のもとではすでにドアが存在していました。しかも、古代ギリシアの神殿には「自動ドア」もあったのです!司祭が祭壇に火を灯して呪文を唱えると、ひとりでに開くというものでした。
古代ローマで西暦79年に起きたベスビオ火山の噴火で、一夜にして火山灰の下に埋没したボンベイの町。
その遺跡から、錠前の専門店が発見されています。店内には様々な鍵や錠前が並べられ、奥には仕事場も・・・。
現在の錠前店とほとんど変わらない店構えで営業していたようです。
ヨーロッパでは、いにしえから鍵は主婦が家政の権限を与えられていることの象徴でもありました。
たとえば古代ローマの男性は鍵を指輪状にして指にはめ、一生の伴侶とすべき女性にめぐり合うと、鍵を指から抜いて彼女の指にはめたそうです。
これが後世のエンゲージリングのルーツであると言われています。
古代ローマでウォード錠のルーツとなる錠前が生まれて以来、近代まで十数世紀にもわたり、そこから脱却した新しい方式に発展することはできませんでした。
それだけこの方式は錠前の発展の過程において革命的な前進だったのです。
その一方で、鍵は信頼と名誉の証にもなっていきます。
近世のロシア帝国やヨーロッパ全域で、王侯貴族の侍従や名家の執事に鍵を渡すことは、その人に大きな権限が与えられたことを意味したのでした。
さて、日本におけるドアの歴史はというと、弥生時代(紀元前1000年頃~西暦350年頃)の農耕村落遺跡である伊豆山木遺跡から木製の扉が出土されています。
世界からは遅れをとりましたが、日本でも紀元前からドアは使われていたようです。
そして、錠前が日本に初めてお目見えしたのは飛鳥時代の7世紀中頃。
大阪府羽曳野市にある野々上遺跡で出土された錠前がそれで、海老のような形をしていることから「海老錠」と呼ばれます。残念ながら真っ赤に錆び付いていて、すでに操作はできません。操作できる最古の錠前は東大寺の正倉院に納められており、そちらは8世紀頃のものと見られています。
飛鳥時代から10世紀近く大きな変化がなかった日本の錠前ですが、江戸時代には専門の職人の手で製作が始められました。
ただし、錠前を必要とする階層は限られ、需要はごく少ないものでした。
庶民の長屋は露地が袋小路で地域のセキュリティレベルは意外と高く、家の戸に鍵をかける必要はなかったのかもしれません。
江戸時代の錠前は鍵の違いがあまりなく、鍵穴も大きいため合鍵で開けられやすいという欠点がありました。
それを補完するように、様々なからくりを組み込んだ錠前が見られます。
たとえば鍵穴が複数あり、鍵を入れる順番を間違えると解錠しないものなどです。
明治後期から大正時代に差し掛かる頃には、官庁、銀行、デパート、病院などを中心に洋風の建築が増えてドアも引戸から開き戸に変化。それに伴い、西洋風の錠前も需要が高まっていきました。
さらに昭和に入ると、それまで輸入に頼っていたシリンダー錠の開発が国内で進みます。
しかし、第二次世界大戦に突入すると金物メーカーは軍需産業への転換を余儀なくされ、その発展は足止めされました。
日本の庶民の暮らしに鍵や洋風の開き戸が一気に広がったのは、急ピッチで都市開発が進んだ昭和30年代からの高度経済成長期。
近代的な生活スタイルを追求した建物が増える中、簡単にドアに取り付けられる円筒錠(シリンドリカルロック)がたちまち普及したのでした。
昭和30年代以降、団地の数が急増していくと、より質の高い住まいが求められ、防犯性の高い鍵とドアが必要とされました。
玄関ドアの内側に箱状のケース(錠箱)を取り付け、こじ開けを防ぐサムターン付シリンダー面付箱錠などがその一例です。
昭和40年後半には、レバーハンドルもノブも好きなデザインのものを選べるシリンダーケースロックという錠がもてはやされます。豊かな時代の象徴ですね。
高度成長期の後半から、キーシステムは目覚しい進化を遂げ、電気錠、磁気カードなどのカード式、暗証番号を入力するテンキー方式など、便利でよりセキュリティの高い仕組みがどんどん登場していきます。
一方、ドアのほうも優れた断熱性や通風機構など快適生活を支える高度な機能を持つものへと進化していったのです。
さらにごく最近では、インターネットに家電などさまざまなモノをつないで暮らしをより便利にするIoT(Internet of Things)が注目されていますが、それにより鍵やドアにもまた新たな革命が起こるかもしれません。
出典
※1 美和ロック株式会社企画・監修、赤松征夫『鍵と錠の世界』彰国社、1995年
※2 里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版、2001年
※3 志村史夫監修『図解古代文明の超技術』洋泉社、2015年
※4 山田幸一監修、高橋康夫著『建具のはなし』鹿島出版会、1985年
※5 BOB WILCOX『DOORS 世界のドアをめぐる旅』グラフィック社、2016年
タグキーをハンドルに近づけるだけ。面倒なカギの操作を省いてスムーズに出入り。お子様でもかんたんに使えます。
キーとして登録したスマートフォンを所持していればアプリ上での操作で施解錠ができます。
※アプリのダウンロードが必要です。
※外出時は必ず非常用収納カギを携帯してください。
リモコンをポケットやカバンの中に入れておけば、ドアハンドルのボタンを押すだけでカギを開け閉めできます。
リモコン操作でカギを開け閉めできます。
操作可能範囲は、室外側約3m以内です。
(設置環境により変動します。)
リモコンを携帯してドアの前に立つだけで施解錠。
【対象商品】
・ヴェナート D30(非防火)
・コンコード S30(非防火)※アルミタイプは除く
・ドアリモ 玄関ドア D30(非防火)※アルミタイプは除く
※認証範囲があります
※リモコンキーはカバンやポケットに入れて携帯してください
細部までこだわりぬいた重厚なドアからモダンなドアまで、豊富なデザインがそろった玄関ドア「ヴェナート D30」。
カギを見せない高い防犯性と便利な機能を両立し、毎日のカギの開け閉めを、安心・快適にします。
※アルミタイプは、顔認証キー対象外です
玄関に、家族にやさしく快適な 「引戸」という選択。
デザインバリエーションを豊富に取りそろえ、 省スペース化も実現。
さまざまな住宅にマッチする 玄関引戸シリーズです。
※アルミタイプは、顔認証キー対象外です
かんたんドアリモは、今あるドアや引戸の枠に新しい枠をかぶせるだけでかんたん
に取替できる、新しいリフォームのカタチ。
既存の壁を壊さずにリフォームできるから、省コストでスピーディな工事を実現。