建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)
2025年4月より、すべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。これに伴い、設計や確認申請の実務は大きく変化しています。
本ページでは、建築物省エネ法の現行基準と最新の関連制度について解説します。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)について
建築物省エネ法は、建築物の省エネルギー性能の向上を目的として2015年に制定された法律です。当初は大規模な非住宅建築物のみが適合義務の対象でしたが、度重なる法改正を経て、
●背景・必要性
日本のエネルギー消費全体のうち、住宅やオフィスなどの「建築物分野」は約3割を占めており、この分野での省エネ化が喫緊の課題となっています。
政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」および「2030年度の温室効果ガス削減目標」を実現するため、建築物に対する省エネ要件は年々厳格化されており、本法律はその政策の中核を担っています。
建築物省エネ法の現行基準について
●対象となる建築物
建築物省エネ法の対象となる建築物は、建物の目的と規模によって変わります。
建築物省エネ法はもともと努力義務として始まりましたが、2017年から大規模建築物に対して適合義務化が始まり、その後さらに2021年に対象を広げています。
2025年には建築物省エネ法が再度改正され、すべての建築物において性能基準への適合が義務化されました。
建築物省エネ法の対象
| 2021年4月~ | 2025年4月~(現行) | |||
|---|---|---|---|---|
| 非住宅 | 住宅 | 非住宅 | 住宅 | |
| 大規模(2,000㎡以上) | 適合義務 | 届出義務 | 適合義務 | 適合義務 |
| 中規模 | 適合義務 | 届出義務 | 適合義務 | 適合義務 |
| 小規模(300㎡未満) | 説明義務 | 説明義務 | 適合義務 | 適合義務 |
※増改築の場合は、規模に応じて従来通りの届出義務等の対象となる場合があります。
※床面積10㎡以下の小規模な新築・増改築や、居室を有さない(空調設備を設ける必要がない)常温倉庫・自動車車庫などについては、省エネ基準への適合が適用除外となります。
●建築物省エネ法における「規制措置」と「誘導措置」
現在の建築物省エネ法は、以下の2つの措置で構成されています。
【規制措置】
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適合義務
すべての新築建築物は省エネ基準(断熱等級4相当等)に適合しなければならず、基準を満たさない場合は建築確認済証が交付されません。
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報告義務(住宅トップランナー制度)
一定の供給棟数を超える住宅事業者には、より高い基準(ZEH水準等)の達成状況を国へ報告する義務が課せられます。
【誘導措置】
適合義務(基準)を超える高い省エネ性能(ZEH水準・断熱等級5以上等)を達成した場合、法律上の認定だけでなく、
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税制優遇・住宅ローン減税の拡充
長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅の認定を取得することで、住宅ローン減税の借入限度額が大幅に引き上げられるほか、固定資産税等の減税措置の対象となります。
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国や自治体の補助金・支援制度
「住宅省エネキャンペーン」など、高性能な住宅取得に対する手厚い補助金の要件を満たすことができます。
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省エネ性能表示制度(BELS・自己評価ラベル)
星マーク(★)で性能の客観的な高さを明示できるため、不動産広告や販売時のアピール材料となります。
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性能向上計画認定(容積率特例)
高度な省エネ設備を導入した際、その設備スペースを容積率の算定から一部除外(最大10%緩和)することができます。
住宅の省エネ基準「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」
新築住宅の省エネ基準適合(確認申請)をクリアするためには、以下の2つの基準を満たす必要があります。
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外皮性能(UA値・ηAC値)
外壁や窓、屋根などの断熱・日射遮蔽性能の指標。
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一次エネルギー消費量
冷暖房、換気、給湯、照明などの設備が消費するエネルギー量の指標。
●適合判定アプローチ
現在の実務では、主に以下の「標準計算ルート」か「仕様ルート」のいずれかを選択して適合を証明します。(※旧制度のモデル住宅法などは廃止されました)
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標準計算ルート
国立建築研究所のWEBプログラム等を使用して正確な数値を算出します。
【メリット】性能を正確に評価できるため、ZEH水準や断熱等級5〜7などの上位等級を狙う場合や、設計の自由度を確保したい場合の必須ルートとなります。複雑な外皮計算や確認申請に必要な帳票類を、WEB上でスムーズに作成できる無料ツールをご用意しています。
YKK AP住宅省エネ性能計算ソフト -
仕様ルート
国が定めた「部位ごとの断熱材の厚み」や「窓の性能」等の仕様規定をクリアすることで、複雑な外皮計算を省略できるルートです。
【メリット】計算の手間が省けるため、適合義務(等級4相当)を最短・最小限の工数でクリアしたい場合に有効です。
省エネ基準に関連するその他の制度
より高い省エネ性能を目指すための基準や、お施主様への優遇制度については、以下の各専用ページにて詳しく解説しています。