夏は暑く、冬は寒い。当たり前と思いがちだが、実は暑さや寒さは体に悪さをすることがある。よく知られているのは、真夏の熱中症。いまや多くの人が水分補給などの対策をとっていることだろう。
そして冬の寒さによる健康被害の代表格がヒートショック。急激な温度変化が原因で心筋梗塞や脳梗塞が引き起こされる、命にかかわるおそろしい現象だ。家の中では部屋をまんべんなく暖かくする=断熱性能を高めることがその対策となるが、熱中症に比べて認知度が低いこともあり、あまり対策がとられていないのが現状だ。
冬の室温が低い家は、健康を害するおそれが大きいといわれている。そこで興味深いのは、冬の朝の室温が低い家が、比較的温暖な地域に多いということ(下図参照)。冬の死亡者増加率も意外なことに温暖な地域で高い傾向にあり、全国で最も低いのは北海道、次いで青森県というデータもある。つまり、暖かい地域とはいえ安心はできないのだ。
もうひとつ知っておきたいのは、築年数の古い家ほど寒いということ。家の暑さ・寒さを左右する断熱性能は地域ごとに国が定めた省エネ基準が設けられているが、そのスタートは昭和55年。当時の基準は低く、暖かい家とはいえない。それ以前に建てられた家にいたっては無断熱。こうした古い断熱基準の家が、現在日本の家の約95% 占めている。一方、進化した断熱基準である、平成11年基準以上の性能をもつ家は5%のみ。日本は、まだまだ暑くて寒い家だらけなのだ。
家族が健康に、安心して暮らせる住まいにするために、我が家の暑さ・寒さや断熱はどうなっているのか、ぜひ一度考えてみよう。
築30年の住宅と最近の新築住宅を比べると、壁や天井、床に充填する断熱材の厚さが部位により3〜4倍に、窓のガラスは単板からLow-E複層になり、家は格段に暖かく、快適になった。平成28年の基準変更では、窓の断熱性能が枠を含めて測られることになった(以前はガラスのみ)。
窓は家の外皮※の中で最も熱の出入りが多い場所。ガラスが複数あっても、熱を伝えやすいアルミ枠だとそこから熱が出入りしてしまう。そこで注目したいのが、断熱性の高さを誇る樹脂窓だ。三層ガラスの樹脂窓なら、冬の熱の流出量を約半分に軽減できる。窓は、家の断熱性を高めるのに重要なパーツ。そして、意外と簡単にリフォームできる。窓を替えるだけで大きな効果を得られるので、よりよい家づくりにおすすめの方法だ。