家の暑さ・寒さと、
家族の健康。
この20年間、家庭内での不慮の事故死が増え続け、高齢者の浴室での溺死事故にいたっては交通事故死者の約3倍も発生しています。なぜこうした事故が増えているのか? ひとつの要因として考えられるのが「家の寒さ」です。高齢者が増え続けるなか、住宅の断熱性能は一向に上がっておらず、現在の省エネルギー基準を満たしている住宅は、全国でもわずか5%しかありません。
日本人の死因の第1位はガンですが、高齢者においては、脳梗塞と心筋梗塞がガンの死亡者数を上回ります。これらの疾患は、家の寒さ、特に暖房の効いた居間から寒い浴室へ移動して裸になったり、夜中に暖かい布団の中から寒いトイレへ行ったりするなど住宅内での急激な温度差が引き金となることが少なくありません。
また、夏の住宅内での熱中症においても、発症者は高齢者に多く、こちらは家の暑さが要因となります。断熱性能が低い家は、最悪の場合、死に至るほどの健康リスクがあります。
実はこの危険性は、なにも高齢者に限ったことではありません。冬の冷たい空気が、私たちの肺に与える影響はとても大きい。家の断熱性をアップしたことで、年齢を問わず肺疾患が改善し、風邪をひきにくくなり、お子さんが学校を欠席したり、お父さんやお母さんが会社をお休みすることが減少したというニュージーランドの研究データもあるほどです。
世界に比べて日本の「住まいの断熱」に対する考え方は、ユーザーの意識も、基準や法制度もかなり遅れているのが実情です。家族の健康を守るためにも、住まいにおける健康リスクと、断熱性を高めることの大切さをご紹介します。