公開日:2025年02月13日 更新日:2025年02月13日
窓が危ない!?ガラス破りの実態とリフォームでできる防犯対策
-巧妙化・悪質化する住宅侵入の対策に

住宅侵入窃盗の手口は、年々巧妙化・悪質化しています。「我が家は大丈夫かな」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、とくに警戒すべきガラス破りの種類や手口、そして効果的な対策方法を詳しく解説します。窓・サッシのリフォームを中心に、住まいの防犯性を高める方法をご紹介しますので、ご自宅の防犯対策にぜひ役立ててみてください。
ガラス破りとは?

「ガラス破り」は、窓から侵入する空き巣の代表的な手口です。
警視庁によると、令和5年に発生した一戸建て住宅の侵入窃盗13,490件のうち、ガラス破りによる侵入件数は4,833件に上りました。これは、無施錠(無締り)の6,250件につぐ2番目に多い侵入手口で、全体の35.8%を占めています。
ガラス破りには、主に次の3種類が挙げられます。それぞれどのような手法なのか、順番に解説していきます。
- 打ち破り
- こじ破り
- 焼き破り

出典元:住まいる防犯110番(警視庁)
【TOPICS】昨今の住宅に関する犯罪事情
まずは、2019年から2023年までの侵入窃盗の傾向を確認してみましょう。2022年まで減少傾向にあった侵入窃盗・強盗数は、2023年から増加に転じているのがわかります。
とくに近年は、都心部などを中心に、犯罪者がSNSで共犯者を募り、高齢者に狙いを定めて侵入するケースが急増していることが特徴です。しかも、これまでは留守を確認したうえでこっそり侵入するのが主流でしたが、最近は不在かどうかにかかわらず、力ずくでガラスを壊して押し入る強引な手口が目立ちます。
犯罪の手口がこのように大胆化・悪質化するなかで、住宅に対するより強固な防犯対策へのニーズが高まっています。
侵入窃盗 認知件数
出典:警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料」

侵入強盗 認知件数
出典:警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料」

打ち破り
「打ち破り」は、もっとも原始的なガラス破りの手口です。石やレンガなどを投げつけたり、ハンマーやバールなどの工具を使ったりして、鍵周辺の窓ガラスを物理的に破壊する方法です。
割れた箇所から手を入れて鍵を開け、窓を開いて室内に侵入します。短時間で侵入できる容易な方法ですが、ガラスが割れる際に大きな音が出るため、住人や近隣住民に気付かれる可能性が高いことが特徴です。

こじ破り
「こじ破り」は、窓ガラスとサッシの間にあるゴムパッキンの部分を狙う手口です。マイナスドライバーなどの工具を鍵の周辺部分に差し込んで穴を開け、開錠してから窓を開けて侵入します。
打ち破りと比べて大きな音が出ないため、近隣に気付かれにくいことが特徴です。また、破壊の跡が目立ちにくく、被害に気付くのが遅れる可能性もあります。

焼き破り
「焼き破り」は、近年とくに警戒が必要な手口です。鍵の近くの窓ガラスをライターやバーナーで局所的に熱したあと、水や冷却スプレーなどで急冷して破壊します。これは、急冷すると収縮し、不規則に力がかかることで脆くなる、ガラスの性質を利用した手口です。
焼き破りは、音が小さく時間もかからないうえ、技術力がいらないので容易であることが特徴です。

ガラス破りに弱い窓の特徴
ここからは、ガラス破りに弱い窓の特徴を、具体的に解説します。

ガラス自体の防犯性能が低い
多くの住宅で使用されている単板ガラス(フロートガラス)が使われた窓は、短時間で破壊されるため、ガラス破りに対して脆弱です。
また、複数枚の板ガラスが使用されている複層ガラスは一見丈夫そうに見えますが、ガラス自体が普通の板ガラスの場合、十分な防犯性能は期待できません。防火目的の網入りガラスも窓ガラスが割れたときに破片が飛び散りにくくなっていますが、防犯性は期待できません。
ガラスが脆くなっている
防犯性の高いガラスを使っていても、ヒビが入ったままになっているようだと、本来の効果を発揮できません。
また、ヒビの入った窓ガラスは、「住人の防犯への関心が低い」というサインとして受け取られ、侵入犯にとって格好のターゲットとなってしまうのもリスクです。
鍵(クレセント錠)が開けやすい
ガラス破りによる侵入では、ガラスを割った箇所から手を入れ、クレセント錠を開けて侵入するのが一般的です。住まいる防犯110番:侵入者プロファイリングからも、空き巣は窓のクレセント錠の位置や開けやすさを重視して標的を選んでいることが読み取れます。
とくに、以下のような窓は狙われやすい傾向があります。
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そもそもクレセント錠自体、本来は防音性や気密性を高めるためのものであり、防犯性が高くないことは、理解しておく必要があるでしょう。
人目に付きづらい場所にある
空き巣はひと目を避けられる窓を狙って犯行に至る傾向があるため、とくに以下のような場所にある窓は要注意です。
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トイレや浴室の窓など、在宅時でも使用頻度が低い窓は、異変に気付きにくいのでとくに注意が必要です。
ガラス破りは窓リフォームで対策しよう
ここからは、ガラス破りに対策するために、具体的にできる窓リフォームをご紹介していきます。
なお、防犯目的でガラスや面格子などの商品を選ぶときには、防犯性能の証明であるCPマークがついているかを必ず確認することが重要です。

CPマークとは
CPマークとは、日本住宅性能評価基準において、侵入防止対策として有効な措置が講じられている窓やドアであることを証明するものです。
基準を満たした窓には、サッシ・ガラス・ロックなど、それぞれにCPマークが付いています。

画像引用:警視庁
防犯性の高いガラスへ交換する
既存の窓が単板ガラスの場合、防犯性の高いガラスに交換することで、ガラス破りへの対策が可能です。
具体的には、防犯ガラス(安全合わせガラス)への交換がおすすめです。これは2枚のガラスに30mil以上の樹脂中間膜を挟み込んだ「合わせガラス」の一種で、破壊されにくいようにしたものです。
YKK APで取り扱っている「安全合わせ複層ガラス・防災安全合わせ複層ガラス※」は、破壊されにくい合わせガラスをさらに複層ガラスにした商品です。打ち破り、こじ破りだけでなく、焼き破りにも強いことが特徴です。
既存のガラスが単板ガラスの場合には、厚みのある複層ガラスへの交換はできないのでは?と思う方もいるようです。しかしその場合でも、アタッチメント付きの商品であれば、簡単に複層ガラスに交換できます。
※中間膜の厚みが30mil(0.76mm)未満を「合わせガラス」、30mil以上60mil(1.52mm)未満を「安全合わせガラス」、60mil以上を「防災安全合わせガラス」と呼びます。

※YKK AP「安全合わせ複層ガラス/防災安全合わせ複層ガラス」
シャッター・面格子を後付けする
シャッターや格子の後付けも、ガラス破り対策には効果的です。侵入が困難になることで、侵入犯の標的から外れやすくなるためです。
ただし、設置に際しては、生活への影響も考慮が必要です。例えばシャッターの場合、上げ下げする頻度や手間などを事前に検討し、電動か手動かの選択も含めて商品選びを進めましょう。実際の使用頻度が下がってしまうと、せっかくの防犯対策が活かされません。
同様に、面格子については、取り外しには時間がかかり避難の妨げになる可能性があります。そのため設置に際しては、火災など緊急時の避難経路を必ず確認・確保しておきましょう。

左:YKK AP「マドリモ シャッター」、右:YKK AP「高強度面面格子 FLA」
内窓を設置する
内窓の設置とは、既存の窓の内側に窓を新たに取り付けて、二重窓にするリフォーム方法です。物理的に窓が二重になることでガラス破りに時間がかかるため、見ただけで侵入犯があきらめる可能性が高まります。
ただし二重窓にすると、いずれかの窓の施錠を忘れてしまう点には注意が必要です。また、手軽に設置できるタイプだと、内窓に錠がついていない場合もあります。そうすると、視覚的な抑止力は高まるものの、物理的な防犯性は1枚の窓と変わらなくなってしまうことも。二重窓にしたからといって過信せず、施錠を怠らないよう気を付けましょう。
なお、内窓設置リフォームは、防犯性能に加えて防音性能や断熱性能を高める効果があり、電気代の削減や結露の抑制に貢献するのもメリットです。

YKK AP「マドリモ 内窓 プラマード U」
窓ごと交換する
防犯性の高い窓にするには、既存のサッシに被せる形で新しいサッシを取り付ける「カバー工法」で、ガラスだけでなく窓ごと新しくする方法もあります。カバー工法による窓交換では、以下のような防犯対策が可能です。
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このように、窓交換リフォームでは、防犯面での弱点を解消するさまざまな工夫が可能です。また、既存のサッシがアルミサッシなら、樹脂サッシにすることで、防犯性能だけでなく断熱性能を高められるのもメリットです。

YKK AP「マドリモ 断熱窓 戸建用 アルミ樹脂複合窓」 たてすべり出し窓+断熱パネルで窓を小さく
窓を小さくする・窓自体をなくす
壁を壊すリフォームであれば、カバー工法よりも高い自由度で窓の改修が可能です。窓を小さいものに変えたり、窓自体をなくしたりすることで、物理的に侵入できない状態をつくりだせます。
ただし、この工法はカバー工法と比べて工期が長く、費用も大幅に増加します。また、窓を小さくしたり減らしたりするときには、採光や通風への影響も考慮して計画する必要がある点にも注意しましょう。

YKK AP「エピソード II 防火窓 GNEO」たてスリットすべり出し窓
窓リフォームにプラスしたい防犯対策
ここでは、窓リフォームにプラスして検討したい防犯対策を紹介します。

防犯性を高める機能部品をつける
窓に防犯性を高める機能部品を追加するのも、侵入窃盗対策として効果的です。
例えばYKK APの窓には、以下のような機能部品が後付けできるものもあります。
※取り付け可能な窓はこちらのページの対応表をご参照ください。
ボタン錠付きクレセント
任意に設定した暗証番号で解錠を行うことができます。

補助錠
主錠と併せて施錠することで防犯性UP。

高齢者の徘徊防止や子供の転落防止にも
脱着ノブクレセント
クレセントのノブが取り外せます。

鍵のかけ忘れを減らす
戸先錠
窓を開けたり閉めたりするだけで、同時に施錠や解錠ができます。

センサーライトの設置
人の動きを検知して点灯する人感センサーライトも、防犯対策として効果的です。夜間に侵入者を照らして けん制できるだけでなく、家人が不審者の存在に気付くきっかけにもなります。
また、暗がりをなくすことで死角を減らし、侵入犯が入りにくい環境にする効果も得られます
防犯カメラやホームセキュリティシステムの導入
防犯カメラは、比較的手頃な価格で導入できる防犯設備です。設置していること自体が犯罪抑止になるだけでなく、万一の際は犯人逮捕の手がかりや事故の証拠としての役割も果たします。
一方、ホームセキュリティは導入時はもちろん、月々のランニングコストがかかります。しかし犯罪が起きれば駆けつけてくれ、被害が出る前に対応できるため、大きな安心感を得られます。
まとめ
ガラス破り対策には、防犯ガラスへの交換、シャッターや面格子の設置まで、さまざまな選択肢があります。より確実な防犯効果を期待する場合は、信頼できるリフォーム会社に相談し、それぞれの生活スタイルにあった適切な防犯対策を一緒に考えてもらいましょう。
また、日頃からご近所とコミュニケーションを取り、地域の防犯力を高めることも大切です。本記事を参考に、マイホームの防犯対策をぜひ家族で話し合ってみてください。
防犯以外のメリットやご相談は下記のページもご覧ください。電話やメール、オンラインカウンセリングも受け付けております。

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