公開日:2024年06月26日 更新日:2024年06月26日

引違い窓にリフォームするメリットは?

-既存の引違い窓の課題を解決する方法もご紹介

引違い窓は、「バリエーションが豊富」「大きな開口部にも対応できる」などの理由で、日本の住宅でもっとも多く採用されている窓です。今ある窓を、引違い窓にリフォームしたいと考えている方もいるのではないでしょうか? この記事では、窓のリフォームを検討している方に向けて、引違い窓にリフォームするメリットをご紹介します。また既存の引違い窓でよくある課題や、リフォームによる解決策も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

侵入窃盗・強盗の認知件数が増加しています

警察庁及び都府県警察が発信している防犯情報を参考に対策ください。侵入窃盗リスクの低減につながります。

上記サイト以外にも、各都道府県警察のWEBサイト、SNSなどでも発信されている各種防犯情報をご覧ください。

※より詳しい防犯データや窓以外の防犯対策について、こちらの特集サイトもお読みください。

引違い窓とは?

引違い窓とは、レール上に設置された障子(ガラスが入っている可動部のこと)をスライドさせて開閉する、日本でもっとも多く使われている横引き窓のことです。

掃き出し窓とは

掃き出し窓とは、窓の下部が床面に接している窓のことです。主にリビングや、外部との出入りが必要な場所に設置されます。引違い窓は、以下の画像のように、掃き出し窓として使われることもあります

引違い窓にリフォームできる?変更するメリットは?

既存の窓から、引違い窓へのリフォームは可能です。引違い窓へとリフォームすることには、どのようなメリットがあるのかを解説します。

バリエーションが豊富

引違い窓は、日本の住宅でもっとも一般的に使用されている窓であるため、バリエーションが非常に豊富です。

障子の枚数は2枚が主流ですが、3枚や4枚のタイプも選べます。また、サッシの材質は、アルミや樹脂、アルミ樹脂複合などがあり、色のバリエーションも豊富です。さらにガラスも単板ガラス(一枚ガラス)や複層ガラス(2枚以上のガラスを組み合わせたガラス)、Low-E複層ガラス(複層ガラスに特殊な金属膜をコーティングしたガラス)など、断熱性能や遮音性に優れたものを選べます。

選択肢が多いため、デザインや機能性の面で、自分の希望に合った窓にリフォームしやすいことが、引違い窓のメリットです

開閉しやすい

引違い窓は、横にスライドするだけなので、開閉しやすいこともメリットです。

窓のなかには、ハンドルを回転させるなど操作が必要なタイプもあります。また折りたたみ式の窓などは、手前や奥に窓を可動させるため体を後退・前進するといった動きが必要になり、車椅子の方などには開閉が難しいことも。そのような窓を引違い窓にリフォームすると、簡単に開閉できるようになるでしょう。

大きな開口部にも対応できて出入りしやすい

引違い窓は、サイズのバリエーションが豊富なので、大きな開口部に対応できることも特徴です。

日本サッシ協会が定める規格寸法では、引違い窓のもっとも大きなサイズは高さ2,230mm、幅3,510mmとされています。
例えば、リビングの腰高窓を、引違いの掃き出し窓にリフォームすればウッドデッキや庭に出やすくなり、ベランダやバルコニーで洗濯物を干すときなど便利です。ほかにも既存の掃き出し窓が片開きなどで、「もっと広く開閉できるようにしたい」と考えるような場合も、引違い窓へのリフォームを検討するとよいでしょう。

※樹脂サッシ、在来工法(関東間)の場合。参考:「標準規格寸法」一般社団法人 日本サッシ協会

壁から出っ張らず邪魔にならない

引違い窓は横にスライドさせるため前後に出っ張らず、窓辺にものがあっても開閉できることもメリットです。

たとえばすべり出し窓は、手前または後方に窓が出っ張ってしまいます。また、画像のような折りたたみ戸は、大きく開くことがメリットですが、折りたたんだときに障子が干渉する場所には物を置くことができません。

引違い窓ではその心配がないため、家具のレイアウトやインテリアに影響を与えにくくなります。窓の周りのスペースを、もっと有効に活用したいと考えたときにも、引違い窓へのリフォームはおすすめです。

オプションを追加しやすい

引違い窓は壁から出っ張らないため、面格子、シャッター、網戸などを追加できるようになることもメリットです。

例えば面格子やシャッターを後付けすれば、大きな窓でもガラス破りによる不審者の侵入を防げるようになります。さらに網戸を取り付けると、虫の侵入を防ぎつつ、通風を確保できるようになるでしょう。

 

既存の引違い窓でよくある課題は?リフォームで解消できる?

近年、住宅性能への人々の関心が高くなっていることを受け、窓も急速に性能が向上しています。そのため引違い窓について、次のような課題を感じている方もいるようです。

  • 古い引違い窓で断熱性能や気密性能が低い
  • 風通しが悪い
  • 防犯性能に不安がある
  • 指を挟むのではと心配

これらの問題は、リフォームすることで解消できる場合があります。次章から、順番に解説していきます。

引違い窓の課題はリフォームで解消できる?

古い引違い窓で断熱性能や気密性能に課題がある場合

引違い窓は、日本の住宅で長年使用されてきた定番の窓であるため、古い家に設置されているケースが少なくありません。

しかし、建築から数十年が経過している住宅の引違い窓は、断熱性能が現代の基準から見ると低い場合があります。引違い窓の性能が向上したのは、住宅の断熱性能や気密性能への関心が高まったここ数年来のことであるためです。

とくに、掃き出し窓のような大きなサイズの引違い窓は、熱の出入りが多くなり、室内温度に大きな影響を及ぼしている場合があります。実際、住宅の熱の出入りは窓からがもっとも多く、冬の暖房時は50%の割合で熱が流出し、夏の冷房時は74%の割合で熱が入ってくるといわれています。

また、引違い窓はレールの上を滑らせることから、ほかの窓タイプと比較すると、障子の重なり部分に隙間ができやすくなります。気密部品が経年劣化し、ねじれや縮みなどがおこることで、隙間が大きくなっているケースも少なからずあるようです。そのような場合、内窓設置や断熱性能の高い窓への交換リフォームをすると、課題解決につながります。

住宅の熱の出入りは窓からがもっとも多く、冬の暖房時は50%の割合で熱が流出し、夏の冷房時は74%の割合で熱が入ってくるといわれています。

【窓からの熱の流入出比率の算出条件】解析No:00033(2021.7.1更新)
●使用ソフト:AE-Sim/Heat(建築の温熱環境シミュレーションプログラム)/(株)建築環境ソリューションズ ●気象データ:「拡張アメダス気象データ」2010年版 標準年/(一社)日本建築学会 ●住宅モデル:2階建て/延床面積 120.08㎡/開口部面積 32.2㎡(4~8地域)「平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ住宅」標準住戸のプラン ●躯体:平成28年省エネルギー基準レベル相当 ●窓種:アルミ(複層ガラスA8未満) ●環境条件: 冬:外気温:2.6℃、室温:20℃ 2月14日 5〜6時(日平均外気温最低日)、東京 夏:外気温:34.8℃、室温:27℃ 8月5日 14〜15時 (日平均外気温最大日)、東京
※熱の流入出の数値はYKK AP算出です。

内窓設置リフォーム

内窓設置リフォームとは、既存の窓の内側に、さらにもう一枚窓を取り付け二重窓にする方法です。とくに既存の窓が単板ガラスやアルミサッシで断熱性能が低いケースでは、内窓を取り付けると断熱性能を大きく向上させることが可能です。

内窓を設置すると、既存の窓と内窓の間に空気層ができるため、断熱性能がアップします。断熱性能が上がると、冷暖房効率の向上や結露の軽減が期待でき、光熱費の抑制や暮らしの質の改善にもつながります。内窓はほかにも防音性や防犯性能アップになる点もメリットです。

内窓設置リフォームのイメージ

窓交換リフォーム

窓交換リフォームとは、今ある窓枠に新しい窓枠をかぶせて新しい窓にする方法です。アルミサッシや単板ガラスの窓を、樹脂サッシで複層ガラスの窓に交換すれば、断熱性能や気密性能を高められます。

窓交換リフォームでは、別のタイプの窓への変更も可能です。例えば近年は、とくに大きな開口部には、引違い窓ではなく片引き窓が採用されるケースが増えています。

 

窓交換リフォームのイメージ

片引き窓とは、左右の片方がFIX窓で、もう一方をスライドさせて開閉するタイプの窓です。

片引き窓は片側がFIX窓となるため、気密性能がよくなることが特徴です。真ん中にフレームがないタイプなら、眺望を確保しやすく開放感も高まるのでおすすめです。ただし、新しい窓枠を既存の窓枠に重ねて取り付けるため、窓のサイズがわずかに小さくなることは理解しておきましょう。

なお窓サイズが大きい場合は、日射遮蔽もセットで考えることが重要です。東西は遮熱タイプのLow-Eガラスを選ぶ、南は庇を設置するなども、あわせて検討するとよいでしょう。

リフォームする窓の選び方

断熱や気密性を向上するために窓リフォームを検討するときは、サッシの材質やガラスの種類を考慮する必要があります。

断熱や気密性を向上するために窓リフォームを検討するときは、サッシの材質やガラスの種類を考慮する必要があります。

■サッシの材質

サッシの材質には、主に次の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

近年の高断熱住宅では、樹脂サッシが主流です。樹脂サッシは比較的高額ですが、断熱性能を高められれば将来的な光熱費の削減につながります。将来的なメリットも考慮して、検討するとよいでしょう

サッシの種類 特徴

アルミサッシ

・3種のなかではもっとも断熱性能は劣る低い

・3種のなかではもっとも安価

アルミ樹脂複合サッシ

・窓の室内側に樹脂を使用した複合構造となっている

・断熱性能も価格も、アルミサッシと樹脂サッシの中間の位置づけ

樹脂サッシ

・3種のなかではもっとも断熱性能が高く、アルミサッシの1,400分の1

・価格はもっとも高い

■ガラスの種類

窓の断熱性能は、サッシの材質だけでなく、ガラスの種類にも影響されます。住宅で採用されるガラスには、以下のような種類があります。窓の断熱性能を高めたいときには、樹脂サッシ+Low-E複層ガラスを選ぶとよいでしょう。

ガラスの種類 特徴

単板ガラス

・一枚ガラスのこと

・かつては主流であったが、断熱性能が低いため、近年の住宅ではほとんど採用されていない

Low-E複層ガラス

・視線は通すのに熱を反射する金属膜によって、室内外の熱の出入りを抑えられるため、断熱性が高い。

・特殊な金属膜をコーティングした、低放射(Low-E)ガラスを使った複層ガラス

・Low-E膜がどのように張られているかによって、断熱タイプと遮熱タイプがある

複層ガラス

・二枚もしくは三枚のガラスを一定の間隔で重ね、その間に空気や不活性ガスを封印したもの

・ガラスの間の空気層が断熱材の役割を果たすため、断熱性能が高い

引違い窓の風通しに課題がある場合

引違い窓は間口が広いものが多いため、たくさん風が入るように思えます。しかし引違い窓は、正面からの風しか室内に取り込むことができません。引違い窓と平行に風が吹いているときには、引違い窓を全開していても、ほとんどの風が素通りしてしまうためです。そのため家を建ててから、風通しの悪さを課題と感じるケースもあるようです

たてすべり出し窓(ウインドキャッチ連窓)へリフォームする

風通しに課題がある場合、FIX窓の両側にたてすべり出し窓を配した「たてすべり出し窓(ウインドキャッチ連窓)」を検討するとよいでしょう。

ウインドキャッチ連窓は、正面からの風しか取り入れられない引違い窓と異なり、建物の外壁面を伝う風を効率的に取り入れられることがメリットです。 なお、通風をよくしたい場合は、リフォームの計画段階で、通風計画の十分な検討が必要です。窓の位置や大きさ、部屋の間取りなどを考慮し、効果的な風の流れをつくりましょう。

引違い窓の「防犯」に不安を感じている場合

警視庁の住まいる防犯110番によると、一戸建ての侵入窃盗の侵入手口でもっとも多いのは「窓」となっています。

侵入犯は、窓ガラスを破壊し、手を入れてクレセント錠を外して侵入します。引違い窓は人の体が通るサイズになりやすいため、侵入犯に狙われやすいことに不安を覚えている方もいるようです。

一戸建ての侵入窃盗の侵入手口でもっとも多いのは「窓」

シャッター・雨戸・面格子を設置する

既存の引違い窓の防犯性能が気になるケースでは、視覚的な防犯抑止力としても効果がある、シャッターや雨戸、面格子などを後付けする防犯リフォームがおすすめです。

シャッターや雨戸は、こじ開けや打ち破りに強いことがメリットです。窓周りのスペースが限られていたり、窓の下が土間やデッキ、2階のバルコニーだったりしても設置できます。操作方法も、開閉の頻度や予算によって、手動式と電動(リモコン)式から選べます。

一方、面格子は、 たて格子や横格子、グリッド格子、ラチスなど多くの種類から選んで後付けできます。色の種類も豊富なので、家のデザインや外壁のイメージにあわせて選ぶとよいでしょう

安全合わせ複層ガラス・防災安全合わせ複層ガラスの窓に交換する

既存の引違いまどの防犯性が気になる場合、より防犯性が高いガラスの窓に交換リフォームするのもおすすめです。

これらのガラスは、間に強度と柔軟性に優れた樹脂中間膜が挟まれているため、破壊されにくくなっています。日本の住宅侵入手口に多い「こじ破り」対策に効果的です。

※安全合わせ複層ガラス/防災安全合わせ複層ガラスを入れても、サッシの仕様により窓全体としては防犯建物部品にならない場合があります。

防犯性の高い商品を選ぶ際、チェックしたいのが「CPマーク」です。

CPマークとは、日本住宅性能評価基準において、侵入防止対策として有効な措置が講じられている窓やドアであることを証明するものです。
基準を満たした窓には、サッシ・ガラス・ロックなどそれぞれにCPマークが付いているので、確認するとよいでしょう。

CPマーク

画像引用:警視庁

防犯性を高める機能部品をつける

より防犯性を高めたい場合は、以下のような機能部品が付けられるサッシを選ぶとさらにに安心できます。

ノブを取り外し物理的に開けづらくできるクレセント錠や、暗証番号で解錠できる鍵、補助錠をつけられる引違い窓もあります。
また閉め忘れを防いだり、外から鍵があることが分かりづらい「戸先錠」に対応している引違い窓もおすすめです。

ボタン錠付きクレセント

任意に設定した暗証番号で解錠を行うことができます。

ボタン錠付きクレセント

補助錠

主錠と併せて施錠することで防犯性UP。

補助錠

高齢者の徘徊防止や子供の転落防止にも

脱着ノブクレセント

クレセントのノブが取り外せます。

脱着ノブクレセント

鍵のかけ忘れを減らす

戸先錠

窓を開けたり閉めたりするだけで、同時に施錠や解錠ができます。

戸先錠

指を挟むのではと心配な場合

引違い窓は簡単に開閉できるのがメリットですが、小さなお子さまがいるようなご家庭では、指を挟むのではと心配になる方も少なくありません。とくに大きな引違い窓は重いため、指を挟んでしまうと大ごとになるのでは、なにか対策はできないか、と考えてしまうようです。

指はさみ防止用ストッパーを設置する

引違い窓を勢いよく閉めたときに、指を挟む事故を防ぎたい場合は、指挟み防止用ストッパーを設置するとリスクを回避できます。

指はさみ防止用ストッパー

まとめ

引違い窓は、日本の住宅でもっとも一般的に使用されている窓であり、豊富なバリエーションから希望に合わせて選びやすいことが特徴です。しかし築年数が古い家では、引違い窓の断熱性能や通気性能、防犯性能などに課題を感じている方もいるようです。

そのような場合は、内窓設置や窓交換リフォーム、シャッターの設置などにより課題を解決できる場合があります。また、窓には引違い窓以外にも多くの種類があるため、リフォームの際に目的に応じて最適な窓を選ぶことも可能です。

引違い窓でなければ目的を達成できないのか、ほかの窓でも可能なのかをあわせてリフォームを検討してみるとよいでしょう。本記事を参考に、快適な住まいを実現してみてくださいね。

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